こんにちは!
くくたる(twitterはコチラ)です!
【薬剤師歴11年目】
●フリーランス薬剤師
●管理薬剤師歴:調剤3年、OTC1年目
●1人薬剤師歴(調剤):2年
【その他資格】
●国際中医師
●ハーバルセラピスト
●シニアハーバルセラピスト
※国際中医師は医師免許ではありません。
歯科・口腔外科からアモキシシリン2g(2000mg)の単回投与(処置前1時間)の処方せんをみて焦ったことはありませんか?
実はその処方せんは感染性心内膜炎(IE:Infectious endocarditis)の予防投与の可能性が考えられます!
この記事はガイドラインのホームページへのリンクと、ガイドラインの必要部分を簡潔にまとめることを目的としています!
実際に処方が来て検索からたどり着いた方の参考になれば幸いです!
参考文献(ガイドライン)を紹介
今回の記事は「感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017年改訂版)」の薬物投与に関する部分の一部を抜粋して作成しています!
ガイドラインは無料で公開されておりますので、ぜひ一度熟読されることをおすすめします!
>>感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017年改訂版) | Mindsガイドラインライブラリ
>>感染性心内膜炎(Infectious endocarditis)|症状からアプローチするインバウンド感染症への対応 – 感染症クイック・リファレンス|日本感染症学会
一度でも頭に入れておくと、実際に処方が来た時に焦らずに調べて対処できるようになると思います!
感染性心内膜炎(IE)の予防で経口投与される薬剤まとめ
経口投与が可能な場合、βラクタム系抗菌薬のアレルギーの有無で使用薬剤が変わります!
万が一問診時にアレルギーがあった場合を考慮して、同ガイドラインに記載されている代替薬についても合わせて紹介します!
βラクタム系抗菌薬アレルギーなしの場合
アモキシシリン2gの単回投与(処置前1時間)
※または体重あたり30mg/kg
※なんらかの理由でアモキシシリン2gから減量する場合は、初回投与5~6時間後にアモキシシリン500mgの追加投与を考慮する
βラクタム系抗菌薬アレルギーありの場合
①クリンダマイシン600mgの単回投与(処置前1時間)
②アジスロマイシン500mgの単回投与(処置前1時間)
③クラリスロマイシン400mgの単回投与(処置前1時間)
感染性心内膜炎の予防投与に対するエビデンス・推奨度について
ガイドラインに記載のある「高リスク心疾患患者に対する歯科処置に際して抗菌薬投与はIE予防のために必要か?」に対するエビデンス・推奨度を抜粋しています!
※IE:感染性心内膜炎
成人の高度リスク患者
成人の高度リスク患者に対し、抜歯などの菌血症を誘発する歯科治療の術前には予防的抗菌薬投与を推奨する
推奨の強さ1:強く推奨する
エビデンス総体の強さB(中)
成人の中等度リスク患者
成人の中等度リスク患者に対し、抜歯などの菌血症を誘発する歯科治療の術前には予防的抗菌薬投与を提案する
推奨の強さ2:弱く推奨する(提案する)
エビデンス総体の強さC(弱)
高度リスク群とは?
①人工弁術後
②IE(感染性心内膜炎)の既往
③姑息的吻合術や人工血管使用例を含む未修復チアノーゼ型先天性心疾患
④手術、カテーテルを問わず人工材料を用いて修復した先天性心疾患で修復後6ヶ月以内
⑤パッチ、人工材料を用いて修復したが、修復部分に遺残病変を伴う場合
⑥大動脈縮窄
中等度リスク群とは?
①高度、低リスク群を除く先天性心疾患
②閉塞性肥大型心筋症
③弁逆流を伴う僧帽弁逸脱
最後に
というわけで、今回は歯科・口腔外科から高用量のアモキシシリンの単回投与処方が来たときに疑うべき状況について紹介しました!
この記事はあくまでも私が必要に思った部分をまとめているだけですので、ぜひ一度リンク先にあるガイドラインを読んでいただくことをオススメします!
>>マクロライド系の少量長期服用の期間と投与量、免疫調節作用・抗炎症作用のメカニズム【抗生物質】