こんにちは!
くくたる(twitterはコチラ)です!
【薬剤師歴11年目】
●フリーランス薬剤師
●管理薬剤師歴:調剤3年、OTC1年目
●1人薬剤師歴(調剤):2年
【その他資格】
●国際中医師
●ハーバルセラピスト
●シニアハーバルセラピスト
※国際中医師は医師免許ではありません。
「爪の水虫に塗る市販薬はございません。」
「爪の水虫は医療機関に受診するようにしてください。」
ドラッグストアや薬局でこのように言われた経験はありませんか?
少なくとも私がドラッグストアで接客をしていた時はそのように伝えておりました!
結論を先に言うと、爪の水虫にも使用できる市販薬はあります!
今回は爪の水虫に使用できる製品の使用方法と抗真菌成分の比較検討、治療の優先順位などを紹介したいと思います!
※今回の内容は動画でも紹介しております!
市販薬が爪水虫に使用できないと考えられている理由
一般的に販売されている市販薬は爪には浸透しないため、効き目は期待できないと考えられています!
いかにも爪に使えそうなパッケージの商品でも、よく見ると「爪」ではなく「爪のきわ」と記載があったりしますので、気をつける必要があります…!
ちなみに病院で処方される薬の場合は、爪に浸透するクレナフィン爪外用液10%(エフェナコナゾール)、ルコナック爪外用液5%(ルリコナゾール)があります!
公益社団法人日本皮膚科学会で無料で公開されている水虫のガイドライン(2019年度)では「爪用の塗り薬の推奨度はB(行うよう勧める)」「飲み薬の推奨度はA(行うよう強く勧める)」となっております!
【爪外用液(爪用の塗り薬)】
・爪白癬にエフィナコナゾール爪外用液は有用か:B
・爪白癬にルリコナゾール爪外用液は有用か:B
【内服(飲み薬)】
・爪白癬にテルビナフィンの内服は有用か:A
・爪白癬にイトラコナゾールの内服は有用か:A
・爪白癬にホスラブコナゾールの内服は有用か:A
外用液と内服薬はどちらも推奨されている治療方法です!
しかし、爪外用液は「経口抗真菌薬に比べると完全治癒率は低いものの、肝機能障害等で内服できない、あるいは内服薬を希望しない中等症以下の爪白癬患者にエフィナコナゾール・ルリコナゾール爪外用液は有用であると考えられる。」と記載されております!
爪水虫の塗り薬の治療はいつまで続けるのか?
新しくキレイな爪に生え変わるまで治療が必要です!
一般的に足の爪が全て生え変わるまでは1~2年かかると考えられています!
市販薬のエフゲンが爪水虫に使用できる根拠
エフゲンが爪水虫に使用できる根拠は、添付文書(説明書)に下記の記述があるためです!
水虫で爪をおかされている場合は,爪の表面の硬い所をツメヤスリ等で薄く剥がし爪の上から中まで浸透する様に念入りに塗って下さい。
私の知識不足かもしれませんが、爪に使用ができる記載がある市販薬はエフゲンのみと認識しております!
使用方法のポイントは、下記のような記述があります!
大人1日1〜2回添付のハケあるいは適当な脱脂綿又はガーゼに本品をつけ塗布します。
患部をよく洗ってから薬剤を塗布しますと皮膚を軟らかくして薬剤浸透を助けます。
ちなみにあくまでも「使用できる根拠」であって「効く根拠」の紹介ではありませんので、ここからはエフゲンに含まれているウンデシレン酸の抗真菌作用の強さの比較を紹介します!
エフゲンに含まれるウンデシレン酸の抗真菌作用の強さを比較
添付文書や書籍、文献よりウンデシレン酸の足白癬(足の皮膚の水虫)に対する有効性の比較考察を紹介します!
※爪水虫に対しての効き目ではありません。
リラナフタート、ルリコナゾール、ビホナゾール ≧ トルナフタート、ウンデシレン酸
このように考える根拠を①リラナフタートとトルナフタートの比較、②トルナフタートとウンデシレン酸の比較、③リラナフタートとルリコナゾールとビホナゾールの比較に分けて紹介します!
リラナフタート ≧ トルナフタートの根拠
リラナフタートとトルナフタートの比較は、リラナフタートのインタビューフォームの開発の経緯に記載がありました!
※リラナフタートはトルナフタートの誘導体です(薬がみえるvol.3参照)
インタビューフォームに記載のあるリラナフタートとトルナフタートの比較はこの文書のみで、比較試験などの情報は載っておりませんでしたので「>」ではなく「≧」と記載しました!
PubMedでも検索をかけてみたところ、リラナフタートとトルナフタートの比較は見つけられませんでした…!
トルナフタート ≒ ウンデシレン酸の根拠
トルナフタートとウンデシレン酸の比較は足白癬についての臨床試験があり、有意差は認められなかったという情報よりトルナフタート≒ウンデシレン酸と考えられます!
※昔の文献のためか概要のみの閲覧が可能でした!
>>Comparison between undecylenic acid and tolnaftate in the treatment of tinea pedis(PMID:6991217)
>>Comparison of over-the-counter agents for tinea pedis(PMID:378561)
リラナフタート、ルリコナゾール、ビホナゾールの根拠
公益社団法人日本皮膚科学会で無料で公開されている水虫のガイドライン(2019年度)を参考にリラナフタートビホナゾール、ルリコナゾールとビホナゾールの比較を紹介します!
・リラナフタートとビホナゾールの治療効果に有意差はなかった。
・ルリコナゾール2週間とビホナゾール4週間の使用は4週後の臨床治癒率が同等の効果を示した。
また、同ガイドラインでは「薬剤間の臨床効果を比較した臨床試験はわずかであるため、薬剤間の優劣を示すことは現時点では難しい。」という記載があります!
結局エフゲンはおすすめなのか?
個人的には、エフゲンは「病院に行くほどではない」と考えている方の爪水虫の治療の選択肢としておすすめします!
ただし、爪水虫の治療で一番推奨されている方法は内服薬ですので、基本的には病院での治療を第一優先にしていただきたいと考えております!
私がドラッグストアで勤務していた時に受診を嫌がる方が一定数いらっしゃいましたので、まずは何か試して様子をみたいという場合の参考になれば幸いです!
最後に
というわけで、今回は爪水虫に使える市販薬であるエフゲンの使用方法とウンデシレン酸の成分比較を紹介しました!
ウンデシレン酸は薬剤師の方でも聞いたことがない成分だと思いますので、抗真菌作用の比較の参考になれば幸いです!
ちなみに足白癬の市販薬の選び方のポイントは過去記事で紹介しています!
>>【水虫薬】テルビナフィン、ブテナフィン、ルリコナゾール、ミコナゾールの比較【市販品・医療用】