
こんにちは!
くくたる(twitterはコチラ)です!
【薬剤師歴11年目】
●フリーランス薬剤師
●管理薬剤師歴:調剤3年、OTC1年目
●1人薬剤師歴(調剤):2年
【その他資格】
●国際中医師
●ハーバルセラピスト
●シニアハーバルセラピスト
※国際中医師は医師免許ではありません。
新人薬剤師の方は、薬の知識、会社のやり方、事務作業など、覚えることがたくさんあって大変ですよね。
私は仕事を覚えるのが遅いので、当時は事務作業はメモを見ながら一生懸命覚えるようにしていましたが、なかなか大変でしたね…。
なので今回は返戻という処理でつまづくであろう点について、イメージを掴めるように紹介したいと思います!
今回は大きく3つのパートに分けようと思います! なので、すでにわかっている部分などは飛ばしてみていただけると助かります!
パート1:レセプト(診療報酬明細書)のルール
パート2:返戻とは?
パート3:難易度別に返戻の具体例について
それでは早速、レセプトのルールから紹介していきます!!
レセプト(診療報酬明細書)とは?
ひとことで言うと「国保や社保などの支払基金に7~9割分のお金を請求するための証明書」ですね!
※本当にひとことでまとめているので、正しい定義は検索していただけると助かります。
レセプト(診療報酬明細書)の基本のルール
①1ヶ月毎にまとめる
②患者毎にまとめる
※②は保険番号毎で考えるとわかりやすいと思います!
③病院毎にまとめる
※同じ病院であれば複数診療科目であっても1つにまとめる(歯科は別)
※③は医療機関番号毎で考えるとわかりやすいと思います!
レセプト(診療報酬明細書)の具体例
下記の例は全て同じ(1人の)患者さんのレセプトで考えてください!
ケース1:同一病院で複数診療科に受診した場合
①11月1日にA病院(内科)受診
②11月10日にA病院(皮膚科)受診
この場合は1日、10日はどちらも同じA病院のため、1枚のレセプトとして提出します!
ケース2:A病院とB病院に受診した場合
①11月1日にA病院(内科)受診
②11月10日にB病院(整形外科)受診
この場合は1日のA病院のレセプト1枚、10日のB病院のレセプト1枚をそれぞれ分けて請求します!
ケース3:同一病院で複数診療科(1つは歯科)に受診した場合
①11月1日にA病院(内科)受診
②11月10日にA病院(歯科)受診
この場合は1日のA病院(内科)のレセプト1枚、10日のA病院(歯科)のレセプト1枚をそれぞれ分けて請求します!
同じA病院ですが歯科は医療機関番号が異なるためレセプトが別れます!
返戻(へんれい)とは?
ひとことで言うと「保険請求上の不備があるので直してから再提出してください」という感じです!
※本当にひとことでまとめているので、正しい定義については検索していただけると助かります。
再提出をしないと「保険請求が認められない→お金が支払われない」という状況になります!
様々な理由で返戻が来るので、今回は保険証関連の返戻のみ紹介します。
保険証関連の返戻(入門)
ケース1:月に1回の受診で旧保険証を使っていた場合
正しい保険証番号に直して再請求するだけなのでシンプルです!
特に高齢者の保険証は、保健番号は同じでも負担割合(1~3割)が変わっていたりする場合があるので要注意ですね!
●3割負担の金額でいただいていて1割に直した場合は差額を返金
●1割負担の金額でいただいていて3割に直した場合は差額をいただく
後者の場合は後になってからお金をさらに下さいとお伝えしなければならないため、非常に言い出しにくいですね…。
ケース2:保健番号の入力を間違えてしまっていた場合
混んでいてうっかり入力ミス→入力~監査でスルーしまうことがあると思います…。
その場合も正しい保健番号を入力し直して再請求するだけなので手続き自体はシンプルです!
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保険証関連の返戻(上級)
ケース1:月に複数回受診しており、途中まで旧保険証を使用していた場合
①保険証の確認がしっかりできていない、②患者さんが申告してくれていない場合に起こりうる返戻です。
【例:月の途中で旧保険証(社保)から新保険証(国保)に切り替わった場合】
①1日にA病院:社保(旧保険証)
②10日にA病院:国保(新保険証)
こんなパターンですね!
整理するため、その後の流れについて書きます。
①1日にA病院:社保(旧保険証)→社保に請求→すでに保険期間は終了しているため返戻
②10日にA病院:国保(新保険証)→国保に請求→正しい保険番号のため請求が通る
いかがでしょう? 何がしんどいか想像つきますか??
問題となるのは②の国保に請求が通ってしまっているというところです。
レセプトは病院毎に請求するルールがありましたね!!
①の旧保険証だけを訂正して再請求をした場合、1日のA病院のレセプト1枚と10日のA病院のレセプト1枚で、同一保険番号、同一病院なのにも関わらずレセプトが2枚に分かれてしまうです…。
「ではどうやって請求するんだ?」となると思うので、再請求の手順を紹介します。
①先に請求が通ってしまっている10日のレセプトを取り下げする!
②返戻のような書類が薬局に届き、取り下げが確定したことを確認する!
③1日、10日のレセプトを1枚にまとめて再請求する!
どうですか? めんどくさいでしょう…?
返戻にせよ取り下げ完了書類にせよ、1~2か月後の忘れた頃に届くのも併せて非常にしんどいです…。
※取り下げについては「社保 取り下げ依頼書」「国保 取り下げ依頼書」などで検索すると専用の書類が印刷できます。
ケース2:月に複数回受診しており、同じ保険番号なのに返戻が来る場合
正直なところ、めったにないと思います!
小児医療証が適用されていて①学校保険のため医療証が適用でない、②医療証忘れなどにより、「医療証適用の請求」と「保険証単独の請求」が発生した場合に起こりうる返戻です!
【例:月の途中で学校保険が発生した場合】
①1日にA病院:保険証(同一)+医療証
②10日にA病院:保険証(同一)のみ(学校保険のため医療証適用なし)
こんなパターンですね!
正しい処理をしていれば1日、10日は同一の保険証のため、1枚のレセプトとして請求されるので返戻は来ません!
ではなぜ返戻が来る場合があるか?
このパターンはレセコンの操作性により勘違いする場合があるため起こる場合があります!※レセコンのソフトに依存します。
あなたの薬局のレセコンで、医療証を使用しない場合の操作方法を正しく理解できていますか?
医療証を忘れた場合に「保険を新規追加」するような操作はしていないでしょうか?
正しい処理としては、保険証+医療証のデータで「今回は医療証を適用しない」という選択をすれば問題ないです!
しかし、入力作業が苦手な方だったり、レセコンがわかりにくい場合に「同じ保険番号で保険証単独のデータを新規で作る」操作をしてしまう方が一定数いらっしゃいます…。
この方法で入力した場合、監査では保険番号は正しいため気づくことはほぼできないと思います(汗)
文章ばかりでわかりにくいと思うのでまとめます。
保険番号が「00001」、医療証番号「11111」というものがあったとします!
●データA:保険番号「00001」+医療証番号「11111」
●データB:保険番号「00001」
このようなデータがあった場合、保険証の番号はどちらも「00001」ですが、
パソコンからするとデータAとデータBは別物のため、違う保険証番号と認識されてしまいます。
なので正しい入力は
①1日にA病院:データA
②20日にA病院:データA(今回は医療証適用なし)
というような感じで、どちらもデータAを使用して入力しないといけません。
もしこういった状況の返戻が来た場合は、正しく請求出来ている物を取り下げして、1日と10日の請求をまとめて1枚のレセプトとして提出しなければなりません…!
保険証関連の返戻(上級)のような状況を回避する方法
①新しい保険証が届くまで旧保険証を使用していることがわかった場合は「月送り」処理をする!
②医療証を忘れた場合や適用上の理由で医療証を使わない場合は、その旨を処方せんに書くなどして周知徹底をする!
大した対策ではないのですが、このあたりは徹底した方がいいのではないかなと個人的には思います。
ちなみに「月送り」とは文字通りその月は請求をせずに翌月以降に請求する方法です。「新しい保険証が届いたら持ってきます!」と言ってなかなか持ってこない人は多いので、そういった場合に活用できますね!!
最後に
というわけで、今回は保険証が切り替わるなどの保険関連の返戻についてまとめました!
返戻を苦手とする方に、少しでも処理方法のイメージができるようになっていただけていたら幸いです!
