【頻尿】八味地黄丸と清心蓮子飲の特徴と違い【漢方・生薬比較】

くくたる@薬剤師
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【薬剤師歴11年目】
●フリーランス薬剤師
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●1人薬剤師歴(調剤):2年

【漢方薬・ハーブの資格】
国際中医師
●ハーバルセラピスト
●シニアハーバルセラピスト
※国際中医師は医師免許ではありません。

 

清心蓮子飲(せいしんれんしいん)は、ご存知でしょうか?

市販薬ではユリナールが有名ですね!

 

店頭などで「これってどうなの?」と聞かれて困る漢方薬の1つだと思っているのですが、皆様はいかがでしょうか?(汗)

 

というわけで今回は、頻尿でよく使用される八味地黄丸と清心蓮子飲の比較紹介をしたいと思います!

中医学での頻尿の考え方

①腎虚

腎臓と膀胱は排尿のイメージ通りですね!

 

 

②脾・肺の機能低下

水の代謝と密接な関係がある臓は脾、肺、腎のためです!

気の固摂作用が低下すると、水などが漏れ出てしまいます!

 

 

③心と腎のバランス

これについては次の見出しでまとめます!

 

このあたりが重要になってくると考えられます!

ちなみに心と腎の関係性は、不眠などでも出てくるのですごく大切な考え方になります!

心と腎のバランス

図は後日にします!

 

心は火、腎は水と考えられており、お互いに助け合う関係にあります!

火が強すぎると水が少なくなり、水が強すぎると火が弱るというイメージですね!

なので心の火が強すぎると、相対的に腎の機能が低下し、その結果頻尿などの尿トラブルが起こると考えられます。

 

八味地黄丸(はちみじおうがん)とは

 

八味地黄丸の構成生薬

地黃(ジオウ)、山茱萸(サンシュユ)、山薬(サンヤク)、沢瀉(タクシャ)、茯苓(ブクリョウ)、牡丹皮(ボタンピ)、桂皮(ケイヒ)、附子(ブシ)

 

どのような人に使うか?

腎虚の人

腎陽虚・腎陰虚どちらもですが、腎陽虚>腎陰虚のイメージです。

 

生薬の特徴

①腎陰・血を補給する生薬:地黄

腎に足りていない栄養を補います!

※陰液は冷やす性質・潤す性質あり!

 

②気を補給する生薬:山薬

気を補うことで腎の機能改善を行います!

 

③固摂作用・肝腎を補う:山茱萸

※固摂作用は漏れ出ることを防ぐので尿漏れを改善します!

 

④熱を冷ます生薬:牡丹皮(活血作用も!)

※活血:血の巡りをよくする

 

⑤水分代謝をする生薬:沢瀉、茯苓

水分代謝を改善して尿トラブルや膝の水などの改善に!

 

体を温める生薬:桂皮、附子

温めることで溜まっている水分を動かしやすくなったり、手足の冷えなどの改善にも!

 

まとめると、腎陽・腎陰どちらも補うので、腎虚のスペシャリストです!

※腎虚では、六味地黄丸との使い分けも重要です!

 

 

八味地黄丸の効能・効果(市販薬)

体力中等度以下で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量減少又は多尿で、ときに口渇があるものの次の諸症:下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、かゆみ、排尿困難、残尿感、夜間尿、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、頭重、耳鳴り)、軽い尿漏れ

清心蓮子飲(せいしんれんしいん)とは

清心蓮子飲の構成生薬

麦門冬(バクモントウ)、蓮肉(レンニク)、黄芩(オウゴン)、黄耆(オウギ)、人参(ニンジン)、地骨皮(ヂコッピ)、車前子(シャゼンシ)、茯苓(ブクリョウ)、甘草(カンゾウ)

どのような人に使うか?

心の興奮などの過剰な状態で、腎が弱る(腎虚)状態!

心と腎のバランスが崩れている方に使用して、心の過剰な熱(興奮)を落ち着かせることで腎機能を取り戻します!

生薬の特徴

①蓮肉が心の熱を冷まし、腎を補強する!

心と腎のバランスの乱れを整えることで、心が過剰になり腎が弱っている状況を整えます!

 

②麦門冬が心の熱を冷まし、陰液も補う!

陰液(冷やす物質)を補う→熱が冷めるイメージです!

 

③黄芩、地骨皮による清熱作用!

清熱=熱を冷ます、炎症や痛みを和らげる

 

④茯苓による利水と安神作用!

水分代謝を改善するだけでなく、安神(心を落ち着かせる)作用もあるところが特徴です!

 

⑤黄耆、人参、甘草による補気作用!

補気により胃腸の機能改善をします!

頻尿で言うならば気の固摂作用の改善が期待できます!

※心の興奮が続くことで、気や陰液が消耗し、脾や肺などの気虚に繋がります。

清心蓮子飲の効能・効果(市販薬)

体力中等度以下で、胃腸が弱く、全身倦怠感があり、口や舌が乾き、尿が出しぶるものの次の諸症:
頻尿、残尿感、排尿痛、排尿困難、尿のにごり、こしけ(おりもの)

八味地黄丸と清心蓮子飲のまとめ

八味地黄丸

腎虚がメインで当てはまる方に!

※八味地黄丸と六味地黄丸の使い分けは必要です!

 

清心蓮子飲

心火がメインで当てはまり、結果的に腎虚や脾肺気虚が当てはまる方に!

 

このように考えると比較しやすいのではないかと思いますが、いかがでしょうか?

地黄丸シリーズまとめ

終わりに

というわけで、今回は頻尿に使用される八味地黄丸と清心蓮子飲の比較を紹介しました!

今回の記事を動画で観る・聴く場合はコチラ!※Youtubeにリンクします

 

厳密にこれだ!って使い分けるのは最初はなかなか難しいと思います。

 

なので、頻尿についてはまずは「腎虚が生じているよな?」というところが話の中で確認できるといいと思います!

 

くくたる@薬剤師
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