プロトンポンプ阻害薬(PPI)の強さ比較

くくたる@薬剤師
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【薬剤師歴11年目】
●フリーランス薬剤師
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●1人薬剤師歴(調剤):2年

【その他資格】
国際中医師
●ハーバルセラピスト
●シニアハーバルセラピスト
※国際中医師は医師免許ではありません。

 

胃薬に限らずですが、患者さんから「この薬って強いの?」と聞かれることって多いですよね!

 

今回は、プロトンポンプ阻害薬の強さ比較の1つとして、H+,K+-ATPaseの阻害活性の比較を紹介したいと思います!

 

この記事を読むことで「少なくとも成分的にはこういう強さ順ですよ!」と答えられるようになると思います!

 

今回の記事を動画で観る・聴く場合はコチラ!※Youtubeにリンクします

 

PPIの関連記事は下記もありますので、興味を持っていただけたらぜひ見てみてください!

>>ピロリ菌検査時のPPIの休薬期間と理由!静菌作用とウレアーゼ活性について

>>PPIは日中・H2ブロッカーは夜間に優位なのはなぜ?特徴・弱点を比較

 

H+,K+-ATPaseとは?

H+,K+-ATPaseは、胃の壁細胞にあるH+を分泌する最終的な部分ですね!

 

一般的に、胃酸分泌を抑える強さとしてはPPI>H2ブロッカーと考えられております。

※PPIは日中も抑えてくれる、H2ブロッカーは夜間が得意などの特徴はあります。

 

H+,K+-ATPase阻害活性とは?

H+,K+-ATPaseの阻害活性の比較は、各薬剤のインタビューフォームに掲載されているIC50を比較して考察をしております!

※ボノプラザンについては数値記載がなかったためメーカーに電話で確認をとってます。

 

IC50はin vitroでの比較となるため臨床の成果に直結するとは言い切れませんが、強さの比較として参考にはできると考えられます!

 

プロトンポンプ阻害薬(PPI)の種類と共通の特徴

ここからはプロトンポンプ阻害薬(PPI)の種類と特徴を紹介します!

 

プロトンポンプ阻害薬(PPI)の種類

現時点で日本で使用されている、

●オメプラゾール

●エソメプラゾール

●ランソプラゾール

●ラベプラゾール

●ボノプラザン

の5種類の比較をしていきます!

 

プロトンポンプ阻害薬(PPI)の共通の特徴

①胃壁細胞で酸による活性化が必要で効果発現までに時間がかかる(ボノプラザン以外)

②酸に不安定なため腸溶性製剤(ボノプラザン以外)

③すべて肝代謝型(CYP2C19など考慮必要なものもあり)

 

プロトンポンプ阻害薬(PPI)の規格、AUC、半減期の比較

あくまでもH+,K-ATPaseの阻害がメインのため、参考程度に載せておきます!

 

プロトンポンプ阻害薬(PPI)の比較表

 

規格はすべて5~30mgで、ほとんどは10、20mgなので条件は近いですね!

AUCはボノプラザン以外は代謝酵素の影響なのかバラつきが大きいですね!

ボノプラザン以外は不可逆的なため、半減期での比較は難しいです!

 

ボノプラザンについては、Ritschel理論によると24時間÷6=4。

4以上のため定常状態が関与する薬ではないと考えられますが、添付文書によると「投与3日目までに定常状態に達していると考えられる」と記載がありますね!

私の周りだけかもしれませんが

「ボノプラザンは比較的速効性があり、3日くらいで効き目が出ますが継続して服用する必要があります」

と患者さんに伝えるのはここが関係していそうですね!

 

プロトンポンプ阻害薬(PPI)のH+,K+-ATPase阻害活性の比較表

 

IC50は50%のH+,K+-ATPaseを阻害するために必要な濃度です。

濃度が低いほど少量で済むため、強い阻害活性があると考えられます!

 

ブタ、ウサギ、イヌと各PPIで対象の動物が違いますが、2つずつ比べればある程度の関係性が見えてくると考えられます!

 

H+,K+-ATPase阻害活性のおおよその強さは、

ボノプラザン>>ラベプラゾール>>エソメプラゾールオメプラゾールランソプラゾール

であると考えられます。

  

表が小さいため、バラしたものを下記にまとめます。

 

オメプラゾール

2.8μmol/L(ブタ胃粘膜)

5.4μmol/L(ウサギ胃粘膜)

5.8μmol/L(イヌ胃粘膜)

 

エソメプラゾール

3.7μmol/L(ウサギ胃粘膜)

 

ランソプラゾール

6.8μmol/L(ブタ胃粘膜、pH6.5)

66μmol/L(ブタ胃粘膜、pH7.5)

6.3μmol/L(イヌ胃粘膜)

 

くくたる@薬剤師
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ブタ胃粘膜はボノプラザンとの比較試験データを参照しております。

PPIは酸による活性化が必要と言われる理由がわかりますね!

 

ラベプラゾール

0.26μmol/L(ブタ胃粘膜)

 

ボノプラザン

0.019μmol/L(ブタ胃粘膜、pH6.5)

0.028μmol/L(ブタ胃粘膜、pH7.5)

酸による影響を受けないことが特徴の1つですね!

 

また、酸による活性化の必要がない点から、作用の発現も早いと考えられております!

ピロリ菌除菌の際には除菌期間も1週間と決まっているため、早く効果が出ることがそのまま利点になりますね!

 

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インタビューフォームはグラフのみだったので、IC50値はメーカーに電話で確認をしました。

 

最後に

というわけで、今回はプロトンポンプ阻害薬のH+,K+-ATPaseの阻害活性の強さの比較についてまとめた記事でした!

 

それぞれの薬で規格(10mg、20mgなど)が違いますし、AUCやCYPの影響も考えると、ヒトでの有効性について考えるのは難しいと思います。

 

しかし、少なくとも成分間の阻害活性の強さだけでも覚えておけば「強さってどうなんですか?」と聞かれた際の答えの1つには出来ると思います!

 

 

くくたる@薬剤師
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