こんにちは!
くくたる(twitterはコチラ)です!
【薬剤師歴11年目】
●フリーランス薬剤師
●管理薬剤師歴:調剤3年、OTC1年目
●1人薬剤師歴(調剤):2年
【漢方薬・ハーブの資格】
●国際中医師
●ハーバルセラピスト
●シニアハーバルセラピスト
※国際中医師は医師免許ではありません。
先日、お客様より「この前勧められた加味帰脾湯が合っていたみたいで、4日目位から実感があったので続けてみようと思います!」
と、声をかけて下さり継続購入された方がいらっしゃいました!
こういう経験はドラッグストア店員をやっていて良かったなと嬉しく思える瞬間ですね!!
というわけで今回は、加味帰脾湯がどのような体質の方に合うのかについて紹介したいと思います!
「漢方薬って本当に効くの?」
「全部理解していないと紹介しにくいな…」
と感じている方もいらっしゃると思うので参考になれば幸いです!
加味帰脾湯(かみきひとう)が適する不眠とは?
加味帰脾湯が適する不眠はシンプルで、
心脾気血両虚(しんぴきけつりょうきょ)
という状態です!
漢字が並んでいると難しく感じてしまいますので要約すると、
心と脾の気・血がどちらも足りていない
という状態です!
この状態を改善するには、心と脾の気と血を補えればいいわけですね!
それでは心脾気血両虚がなぜ不眠と関係があるのか?
これがわかれば納得できそうですよね!
心脾気血両虚の状態とは?
①心について
まず大前提として、不眠が出る状況は「何かしら心に問題がある状態」と考えられます!
※心について解説した記事はコチラ!
不眠と関係があるのは特に、
●心火旺(心が興奮している状態)
●心血虚(心の栄養が足りていない状態)
があり、心脾気血両虚では心の気と血が足りていないため、心気虚・心血虚が原因となる不眠の場合に適しています!
※気虚について解説した記事はコチラ!
※血虚について解説した記事はコチラ!
この説明だとピンとこない方もいると思うので私のイメージを紹介します!
①体に栄養が足りていない状態だと、肉体が弱っているため不安に感じやすくなったり不眠が生じてしまう!(血虚のニュアンス)
②肉体が弱っているため、本来の機能が発揮できず機能低下している!(気虚のニュアンス)
過度なダイエットをしている方やヨボヨボの高齢者の方のイメージですね!
細身の体型であったりシワシワに乾燥している高齢者の方などに心血虚の状態(睡眠が浅い、夢をよく見る、不安感など)について聞いてみると当てはまることが多いと思います!
②脾について
心については①で紹介しましたが「脾については何が関係しているの?」
となりますよね!
脾は「飲食物の消化吸収」に関係しております!
つまり脾の機能が低下(気虚)していると、飲食物の消化吸収効率が悪くなり、エネルギー(気、ATP)、肉体(血、栄養)が作りにくくなります!
気と血が作りにくい→足りていない→気虚・血虚
という流れですね!
※脾について解説した記事はコチラ!
①食べたものがうまく吸収されずに消化不良を起こして下痢しやすい方
②食べ物がうまく吸収されずに、食べているのに疲れる・太る方
③食欲が落ちてしまっている方
④いつも通り食べているが、もともとの食事量が少ない方(定食メニューを完食できないなどが目安)
一例ですが、このような状況が当てはまる場合は脾気虚体質の可能性があります!
①②をまとめると、
●食欲が落ちたり、もともとの食事量が足りていなかったり、胃腸が弱くて下痢しがちな体質の方は本来必要なエネルギー(気)や栄養(血)が足りていない!
●気や血が足りていないと不安に感じたり不眠が生じる!
なので胃腸(脾)と心の機能・栄養状態を改善するための漢方薬が、これから紹介する加味帰脾湯ということになりますね!
加味帰脾湯(かみきひとう)とは?
加味帰脾湯の構成生薬
黄耆(オウギ)、竜眼肉(リュウガンニク)、人参(ニンジン)、白朮(ビャクジュツ)、茯苓(ブクリョウ)、柴胡(サイコ)、酸棗仁(サンソウニン)、当帰(トウキ)、山梔子(サンシシ)、遠志(オンジ)、大棗(タイソウ)、甘草(カンゾウ)、木香(モッコウ)、生姜(ショウキョウ)
生薬の特徴
●黄耆、人参、白朮、大棗、甘草は補気作用(気を補う)のある生薬!
※大棗は安神作用もあり!
※安神作用:心を穏やかに安心させる
●竜眼肉、酸棗仁、遠志は養心安神(ようしんあんじん)作用のある生薬!
心の血(けつ)を補い、心火を冷まし心血虚を改善します!
●茯苓は水分代謝と養心安神作用のある生薬!
●当帰は血を補い巡らせる生薬!
血を補うことを養血と言いますが、当帰はさらに補った血を巡らせる作用がある点が特徴の1つです!
● 柴胡、山梔子は清熱作用のある生薬!
加味帰脾湯の「加味」されている生薬です!
ほてりなどの熱感やイライラするなどの神経の高ぶりを鎮めます!
そういった状況がなければ、加味帰脾湯ではなく帰脾湯の方が良いと考えられます!
※帰脾湯は市販薬であまり見かけませんが…。
加味帰脾湯の効能・効果(市販薬)
体力中等度以下で、心身が疲れ、血色が悪く、ときに熱感を伴うものの次の諸症:貧血、不眠症、精神不安、神経症
最後に
というわけで、今回は加味帰脾湯に合う体質についての紹介でした!
不眠に使用される漢方薬はそれぞれ特徴があるため、お悩みの方の体質に合わせて使用することが大切ですね!
ちなみに酸棗仁湯に関する記事はコチラ!
柴胡加竜骨牡蠣湯と桂枝加竜骨牡蛎湯に関する記事はコチラ!