こんにちは!
くくたる(twitterはコチラ)です!
【薬剤師歴11年目】
●フリーランス薬剤師
●管理薬剤師歴:調剤3年、OTC1年目
●1人薬剤師歴(調剤):2年
【その他資格】
●国際中医師
●ハーバルセラピスト
●シニアハーバルセラピスト
※国際中医師は医師免許ではありません。
今回は肺サーファクタントの役割についてイメージしやすくするための記事です!
私が薬学部で学んでいたころは「アンブロキソールはⅡ型肺胞細胞から肺サーファクタントの分泌を促進させ、淡の滑りを良くする」という程度で、肺サーファクタント自体についてはあまり解説がなかったと思います!
去痰薬を勉強し直していたところ、肺サーファクタントについてよくわかっていないことが判明したため、しっかりと調べてみようと思い記事にしました!
※私が授業を聞いていなかっただけの可能性もあります。
前半は肺サーファクタントについて、後半は肺サーファクタントに関係する薬剤について紹介します!
肺サーファクタントとは?
肺サーファクタントは肺胞のⅡ型肺胞上皮細胞から分泌される界面活性物質のことです!
界面活性物質により、液体の表面張力を弱めることで肺胞の虚脱(肺胞がしぼんで潰れてしまうこと)を防いでいます!
表面張力により肺胞がしぼむイメージがわきにくいと思うので、イメージ図で表現してみます!
表面張力のイメージ図
まずは表面張力のイメージ図です!
表面張力により、表面積が最小になる方向に働きます!
表面張力はなんとなくイメージできると思いますが、肺胞で表面張力が働くとどうなるのでしょうか?
肺胞と表面張力のイメージ図
肺胞腔内はイメージ図のような感じで組織間液(水分)で覆われております!
肺サーファクタントがない場合
肺サーファクタントがない場合、この組織間液が表面張力により表面積を最小にする方向に働くため①→②のように肺胞がしぼむと考えられております!
肺サーファクタントがある場合
肺サーファクタント(界面活性物質)が肺胞の表面を覆っているため、表面張力が低下して肺胞がしぼまないようになります!(①の図のままのイメージ)
界面活性物質の役割
水に溶けた界面活性剤分子は、親水基を水側、疎水基を空気側に向けて、水の表面にくっつきます(図2)。すると、水の表面張力が低下します。これは、水分子どうしの引っ張り合う力を界面活性剤分子が弱めるからです。
岡山理科大学「理大の栞」その5
※図2については引用先の記事に関する記述です。
アンブロキソール(ムコソルバン)
ムコソルバンの気管・気管支領域の作用部位
気道・気管支粘膜細胞、肺胞Ⅱ型細胞
ムコソルバンの気管・気管支領域の作用機序
サーファクタント(肺表面活性物質)分泌促進作用
表面活性物質の役割としては線毛の存在しない肺胞や呼吸細気管支を含め気道中の粘性物質を排出しやすくするものと考えられている。
※インタビューフォームの肺サーファクタントに関する部分を抜粋
「気道中の粘性物質を排出しやすくする」がわかりにくいと私は感じたので、イメージ図で考察してみます!
イメージ図で考察
あくまでもイメージ図&考察です!
粘性物質を考えた場合、杯細胞や粘液細胞から分泌されるムチンが思い浮かびますが、それ以外にも粘性物質がある可能性を考慮すると水溶性・脂溶性の判断が私の知識ではできませんでした…!
肺サーファクタントが界面活性物質である以上、水溶性・脂溶性どちらに関しても吸着する方向に働き粘性物質を排出しやすくすると考えられます!
肺サーファクタント製剤(サーファクテン)
サーファクテンの適応
呼吸窮迫症候群
サーファクテンの作用機序
肺サーファクタントは,肺胞の気−液界面の表面張力を低下させて肺の虚脱を防止し,肺の安定した換気能力を維持する.
本剤は,肺サーファクタントの生理的役割を代償し,表面張力を低下させる.
呼吸窮迫症候群(RDS)について
呼吸窮迫症候群には、新生児呼吸窮迫諸侯群(IRDS)と急性呼吸窮迫症候群(ARDS)があります!
サーファクテンは、肺サーファクタントが欠乏することによって起こる新生児呼吸窮迫症候群(IRDS)に使用されると考えられます!
参考文献
インターネット
岡山理科大学「理大の栞」その5(表面張力と界面活性剤の解説)
新生児呼吸窮迫症候群 – 23. 小児の健康上の問題 – MSDマニュアル家庭版
急性呼吸窮迫症候群(ARDS) – 07. 肺と気道の病気 – MSDマニュアル家庭版
ムコソルバン錠インタビューフォーム※PDF直リンク
書籍
最後に
というわけで、今回は肺サーファクタントの役割を図で紹介する記事でした!
コメント