こんにちは!
くくたる(twitterはコチラ)です!
【薬剤師歴11年目】
●フリーランス薬剤師
●管理薬剤師歴:調剤3年、OTC1年目
●1人薬剤師歴(調剤):2年
【ハーブ・アロマの資格】
●ハーバルセラピスト
●シニアハーバルセラピスト
●アロマテラピー検定1、2級
●国際中医師
※国際中医師は医師免許ではありません。
今回はアダプトゲンハーブとして知られているエゾウコギについて紹介します!
ちなみにアダプトゲンは「ストレスに対する適応力」という意味です!
今回の内容は簡潔に動画にまとめております!
エゾウコギの基礎情報
学名︰Eleutherococcus senticosus、Acanthopanax senticosus
科名︰ウコギ科
使用部位:根、根茎、茎
別名:刺五加(シゴカ)、シベリアンジンセン
刺五加は生薬名で根、根茎が使用されます!
また、中薬では五加皮という似た名前の生薬がありますが、こちらの学名は別であるため必ず学名と使用部位を確認をするように注意です!
エゾウコギの主要成分
主要成分の構造式と共に紹介します!
エレウテロシドA(ステロール配糖体)
エレウテロシドB(フェニルプロパノイド配糖体)
別名:シリンギン
生薬学では疲労、性行動減退拮抗作用と記載されております!
また、第十八改正日本薬局方ではエレウテロシドBが確認試験項目となっております!
エレウテロシドB1(クマリン配糖体)
別名:イソフラキシジンモノグルコシド
生薬学では鎮静作用、血圧降下作用と記載されております!
フェニルプロパノイドからクマリンへの生合成経路があるため、エレウテロシドB→エレウテロシドB1に生合成されると考えられます!
エレウテロシドE(リグナン配糖体)
別名:シリンガレジノールジグルコシド
生薬学では抗アレルギー作用と記載されておりますが、MEDICAL HERB vol.58 2021冬号 心と体のマネジメントでは抗ストレス作用と記載されております!
フェニルプロパノイドからリグナンへの生合成経路があるため、エレウテロシドB→エレウテロシドEに生合成されると考えられます!
そのため、エレウテロシドBには疲労、エレウテロシドEには抗ストレス作用と、同じような記載があると考えております!
エゾウコギの抗ストレス作用のメカニズム
エゾウコギの抗ストレス作用のメカニズムは、β-エンドルフィンを分泌させて肉体的・精神的な苦痛・ストレスを和らげると考えられています!
文献により「エレウテロシドEがβ-エンドルフィンを分泌する」と記載があったり、「エレウテロシドBがβ-エンドルフィンの分泌する」と記載があったりと様々です…。
成分ごとに記載はしたのですが情報の判断が難しいため、エゾウコギは抗ストレス作用と関係があるハーブだと、大まかに考えております!
β-エンドルフィンとは?
β-エンドルフィンについては、e-ヘルスネットが簡潔にまとまっていたため下記に引用します!
脳内で働く神経伝達物質の一種。鎮痛効果や気分の高揚・幸福感などが得られるため、脳内麻薬とも呼ばれる。
脳内で働く神経伝達物質「エンドルフィン」のひとつで、モルヒネと同じような作用をする物質です。
エンドルフィンは、子牛や豚の脳から発見されたもので「体内で分泌されるモルヒネ」を意味しています。モルヒネの数倍の鎮痛効果があり、気分が高揚したり幸福感が得られるという作用があります。エンドルフィンにはアルファ(α)・ベータ(β)・ガンマ(γ)の3つがあり、β-エンドルフィンはその中でも苦痛を取り除くときに最も多く分泌されます。
β-エンドルフィン | e-ヘルスネット(厚生労働省)
マラソンなどで苦しい状態が一定時間以上続くと、脳内でそのストレスを軽減するためにβ-エンドルフィンが分泌され、やがて快感や陶酔感を覚える「ランナーズ・ハイ」と呼ばれる現象がよく知られています。またβ-エンドルフィンは性行為の際やおいしいものを食べたときなどにも分泌されることが分かっています。
エゾウコギの作用と適応
作用:アダプトゲン、賦活
適応:疲労、運動能力・集中力・持続力の低下、感染症の予防、病後の健康回復
また、Medline plus(アメリカ国立医学図書館)では、性器ヘルペスの発生を減らすのに役立つ可能性があると記載されています!
エゾウコギの安全性・相互作用
安全性:クラス1(適切に使用すれば安全)
相互作用:クラスA(相互作用が予測されない)
服用期間についての注意
●ドイツコミッションEモノグラフでは「通常は3ヶ月以内(反復投与は可能)」と記載されております!
●Medline plus(アメリカ国立医学図書館)では「最長3ヶ月までの使用は安全である」と考えられています!
その他の安全性・相互作用の情報
安全性と相互作用の分類は上記のようになっておりますが、下記のような報告もあります!
●ドキシフルリジンとエゾウコギの併用による完全房室ブロックの診断報告がある
●併用によりジゴキシン濃度の上昇の報告がある(PMID:8705908)
●in vitro試験でCYP2C9、OATP2B1、CYP1A2、CYP3A4、CYP2D6、p-gpなどの阻害作用が報告がある
また、 Medline plus(アメリカ国立医学図書館)では 「妊娠中・授乳中の場合はエゾウコギが安全に使用できるかどうか十分な信頼できる情報はないため使用は避ける」とされています!
in vitro試験での報告については、阻害の程度の問題もあるため個人的には気にとどめておく程度で考えております!
相互作用もクラスAと考えられておりますしね!
エゾウコギの服用方法
1回2~3gを熱湯で5~10分間抽出したものを1日3回までと考えられています!
ドイツコミッションE、Medline Plusの情報を考慮すると、連続で服用する場合は最長でも3ヶ月までが無難です!
個人的には毎日飲むのではなく、ストレスなど疲労を感じた時に服用すると良いと考えております!
参考文献
インターネット
「健康食品」の安全性・有効性情報〔国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所〕
Eleuthero: MedlinePlus Supplements
Elevated serum digoxin levels in a patient taking digoxin and Siberian ginseng – PubMed
書籍
●MEDICAL HERB vol.58 2021冬号 心と体のマネジメント(非売品)
最後に
というわけで、今回はエゾウコギの情報のまとめ記事でした!
APHAによる見解では相互作用はクラスA(相互作用が予測されない)です!
しかし、ドキシフルリジンとの併用で完全房室ブロックの報告があったり、ジゴキシンの血中濃度上昇の報告もあるため、併用薬には十分注意が必要なハーブと考えております!
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