こんにちは!
くくたる(twitterはコチラ)です!
【薬剤師歴11年目】
●フリーランス薬剤師
●管理薬剤師歴:調剤3年、OTC1年目
●1人薬剤師歴(調剤):2年
【ハーブ・アロマの資格】
●ハーバルセラピスト
●シニアハーバルセラピスト
●アロマテラピー検定1、2級
●国際中医師
※国際中医師は医師免許ではありません。
薬学の勉強をしている方なら必ず1度は聞くことのあるセントジョーンズワート!
皆様はどのような印象をお持ちでしょうか?
私は、ハーブの勉強をするまではCYP3A4を誘導するため、めんどくさい存在だなぁと思っておりました。
メディカルハーブを勉強した今でも、併用薬がある場合には相互作用を考えないといけないためネガティブなイメージを持っておりますが、逆に、併用薬がない場合にはメリットもあるなと感じられるため、今回はメリット・デメリットの紹介をしたいと思います!
セントジョーンズワートの基礎情報
学名:Hypericum perforatum
科名:オトギリソウ科
使用部位:開花時の地上部
セントジョーンズワートの主要成分
ジアンスロン類(ヒペリシン、プソイドヒペリシン)
フラボノイド配糖体(ルチン、ヒペロシド)
ハイパーフォリン
タンニン
構造式の画像なし
作用と適応
作用:抗うつ、消炎、鎮痛 ※内服で抗うつ、外用で消炎、鎮痛
適応:神経疲労、軽度~中等度の抑うつ、季節性感情障害、生理前症候群(PMS)、創傷、やけど
私個人の考えとしては、うつ症状が疑われる場合にはしっかりと心療内科などに通い治療をすべきだと考えております!
うつは悪化すると治るまでに2年近くかかる場合もあるためですね…。
逆に、私がセントジョーンズワートをオススメしたい方は2パターンあります!
それが、
季節性感情障害(5月病や梅雨の時期に気分が落ちるなど。)
生理前症候群(PMS)による気分の落ち込み
です!
ひとことで言うと、病院に行くほどでもないけど気分が落ちて辛いと感じている方にオススメしたいです!
作用機序は諸説あり、セロトニン再取り込み阻害作用によるセロトニン濃度上昇などが検討されております。
「これは効くよ!」と言ってしまうと薬機法違反となってしまうので注意したいです。
「気分が落ち込み時にちょっとおしゃれにハーブティーを飲んで気分転換をする」という感じで一時的に利用されると良いと思います!!
(効果発言までには数週~数か月と考えられている)
安全性・相互作用について
安全性:クラス2d
※色白の人は使用中、日光への過度の暴露を避けるべき。光線療法中には使用禁忌。
※理由は後程記載します。
相互作用:クラスC(相互作用が起こることが知られているハーブ)
※CYP3A4を誘導するため、厚生労働省は6項目の医薬品について、併用に関する注意喚起を行っております。
厚生労働省から発表されている薬剤
インジナビル(抗HIV薬)
ジゴキシン(強心薬)
シクロスポリン(免疫抑制薬)
テオフィリン(気管支拡張薬)
ワルファリン(血液凝固防止薬)
経口避妊薬
上記の薬剤の内容を見ていただくと、治療において本当に重要となる薬であると判断できると思います!
また、CYP3A4は非常に多くの薬の代謝に関わってくるため、普段使用している薬の効果が落ちて、治療中の病状が変化(悪化)してしまう可能性が考えられるため、たかがハーブ、たかが食品、たかがサプリメントと思わないで、何かしらの薬を使用している方は自己判断で飲まない・飲ませないよう注意をしてください!
ちなみにCYP3A4誘導作用については、ヒトPXRリガンドとしてハイパーフォリンが同定されているそうです。
※下記はJ-stageのPDFの「薬物代謝酵素がかかわる薬物相互作用」への直リンクです。
光線療法中に使用禁忌の理由
これについては薬剤師や医師の方でも知らない方が多いのではないかと思います。
セントジョーンズワート中に含まれるヒペリシンが光感作作用があるため、使用が禁忌となっております!
※光感作は光線過敏症をイメージしていただくとわかりやすいかと思います。
厳密には、ヒトでの光感作は報告が少ないようですが、セントジョーンズワートを普段から餌として食べているヒツジに光感作が疑われる症状が出たことがあるそうです。
ヒペリシン単体の構造を見ると、共役構造中の=Oが疑わしいです。しかしセントジョーンズワートにはフラボノイドなど他の抗酸化可能・ラジカル補足が可能と考えられる物質も含まれているため、ヒトが正しく服用する範囲での量であれば光感作作用は報告が少ないのではないかと私は考えております。
禁忌は禁忌なので、色白の人や光線療法中の方は使用を控える必要がありますけどね!
抽出について
目安として、1日2~4gを熱湯150mLで抽出。10分程度。
1日1~2杯が目安。
参考文献と商品紹介
【メディカルハーブ ハーバルセラピストコース・テキスト第6版(非売品)】
ハーバルセラピストの講義を受講するといただける教科書なので、勉強にはなるのですが非売品なのが残念です…。
【メディカルハーブの辞典 主要100種の基本データ】
主要のメディカルハーブ100種に含まれる、
【成分】【構造式】【効能効果】【機序】【服用方法】【薬と飲み合わせ】
などがまとめられているので、薬剤師や登録販売者の方を筆頭にオススメしたい1冊です!!
【セントジョーンズワート】
学名と使用部位が一致しているかが、選ぶ上で重要でしたね!
【注意点】
①安全性・相互作用にも記載しましたが、何かしらの薬を使用している方!
②光線療法で治療中の方!
最後に
というわけで、セントジョーンズワートのメリット・デメリットについての紹介記事となります!
大学などで勉強するセントジョーンズワートはデメリットばかりが目立つと思いますが、実際は季節性感情障害や生理前症候群(PMS)などの、治療するほどは悩んでいないけど気分が落ち込んで辛いという状況に対して、食生活の改善として是非オススメしたいです!
何度も注意はしているつもりですが、治療中の薬がある方は自己判断での使用は控えるようお願い致します。メインの治療している病状のコントロールが乱れてしまう可能性があるため、本当に大切なので…。
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