こんにちは!
くくたる(twitterはコチラ)です!
【薬剤師歴11年目】
●フリーランス薬剤師
●管理薬剤師歴:調剤3年、OTC1年目
●1人薬剤師歴(調剤):2年
【漢方薬・ハーブの資格】
●国際中医師
●ハーバルセラピスト
●シニアハーバルセラピスト
※国際中医師は医師免許ではありません。
漢方の記事、早く書きたいなと思いつつ、書くなら1から書かないとだよなと思っていた矢先、個人的にちょうどいい症例があったため、漢方編の第0話的な位置づけで書いていきたいと思います!
ちなみにこれを読んで頂いてる皆様は中医学や漢方についてはどう考えていらっしゃるでしょうか?
私の最初の漢方の印象は「気血水とかよくわからん! 胡散臭い!」でした(笑)
なので、もし同じように思われている方がいましたら、
●少しでも胡散臭さがなくなる
●興味を持ってもらえるようになる
と、私はとても嬉しいです!
というわけで、早速患者背景から紹介していきます!
※登録販売師の方から「さっきこのような方がいてまた来るって言われたんだけど…」という状況の患者のため、薬を使っていただいた実感などはない状況です。
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患者背景
50〜60歳代、女性
体型:普通だが肉付きがいい
主訴:血圧が高いのを改善させたい。
併用薬:なし、病歴:なし
その他訴え(多め):
●3年ほど前から膀胱炎を繰り返している
●暑がり。布団の上で寝るのも暑い(冬〜春でも)
●不眠あり
●乾き目?疲れ目?あり、朝はベタつく目やにあり
●食欲旺盛かは不明。常に家にいるから、何かしらを気づいた時に食べてしまう(脂物やお酒などの嗜好品は聞き取れておらず)
●ストレスはある。介護?系の仕事。
患者希望:西洋薬ではなく、体質改善の漢方薬を飲みたい。家族が以前、漢方で血圧が下がったので興味がある
患者背景はこんな所でしょうかね!
本当、登録販売師の方ナイスでした! もう少し掘り下げて聞きたい所もありますが、かなり情報を手に入れてくれてました!!
中医学での考え方に当てはめた情報の整理
ここが今回のメインです!
結論から言うと、この患者は「熱」が色々な悪さをしていると考えられます! ここで胡散臭いと思わないで、もう少しだけお付き合いくださいね(汗)
※今回は序論のため、詳しい方が見たら「考え方が軽率だ」と思われるかもしれません。ご了承ください。
【年齢情報】
まずは50〜60代の女性のため、更年期症状が出てホルモンバランスが崩れる(少なくなる)状況でもおかしくないと思います。
→ホルモンと関連がある中医学の臓腑は「腎」です。ホルモンは「エネルギー」ではなく「物質」のため、腎の陰が不足した状態と考えます。
※陽=気(エネルギー)、陰=血、水(津液、精)
ここで、気血水の話になりますが、陽は温める作用、陰は冷やす作用があると受け入れていただきたいです。
なので、ホルモンが減る→腎陰が減る→冷やすものが減る→相対的に温まり熱となる。と考えられます。具体的な年齢はわかりませんが、3年前からということを考えると、更年期障害がそのあたりからあったのではないかと想像できます。
【血圧】
次に血圧が高いこと! 中医学では、血圧に深く関わる臓腑は「肝」「心」です。
肝や心が熱を持っていると、
●自律神経の調節(血圧の調節)がうまく行かなくなったり
●心臓の拍動が強くなる(熱が過多のため、エネルギーが過剰になり強まる)
状況に陥ります。無理やり薬学に落とし込むなら、熱が高いほどエントロピーが増大するイメージでしょうか?
ちなみに、肝に熱が持つ条件の1つには、ストレスが関わっております。つまり、ストレスが強いと肝に熱を持ちやすくなります!
【目の乾燥、目やに】
先程、肝は自律神経の調節に関わると書きましたが、他にも目や筋肉、爪などにも影響が出ます。
肝の熱→目に熱を持ち続けると乾いてきます。なので、乾き目、疲れ目のような状態が出ていると考えられます。
また、中医学における熱=炎症とも考えられており、膿のようなドロッとしたものは湿気(水分異常)+熱と考えられるので、
朝のドロッとした目やに=湿熱
同じ要領で、膀胱炎は膀胱の湿熱と考えられます。
余談ですが、ストレスが溜まる→肝に気が溜まる→肩の筋肉がこわばる→肩こりにも繋がりますね。
【膀胱炎】
膀胱と腎は密接な関係があるため、腎の冷やす能力が足りず膀胱が冷やせずに熱を持つから膀胱炎になりやすくなるとも考えられます。
【不眠】
不眠についてはかなりややこしいですが、こういうふわっとしたところが中医学の考え方の得意分野です! もう少しだけお付き合いください(汗)
不眠に関与する臓腑は「心」「腎」です!
ややこしい概念ですが、心は火、腎は水という性質を持っており、お互いに作用が強くなりすぎないよう調節されています。特に、日中の活動はエネルギッシュになるため火(陽)が優位、夜は体を休ませる時間のため水(陰)が優位。
腎陰が少なく冷やす性質が弱まる→心の火が鎮火しきれない→エネルギッシュ→不眠と考えられます。
【胃熱】
脂物や、甘い物などカロリーが高い食べ物は熱となりやすく、胃に熱がある状態だと食欲旺盛になってしまいます。
ストレスから食べ過ぎて胃熱になる人もいれば、単に食べるの好きで食欲旺盛で胃熱になる人もいます。
胃と心は近い位置関係にあるため、胃に熱があるとそれが心に移ることもあり、これも不眠を起こす原因の1つと考えられます。
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西洋医学との対比
最初に言っておきますが、私は漢方信者ではありません!(笑)
西洋薬であれば、高血圧薬、目薬、膀胱炎のための抗生物質、不眠には睡眠薬、胃がもたれたりしたら胃薬…など、各々の症状に対して薬が処方されると思います。
もちろん1つ1つの症状を治していくことはとても大切です!
今回の例でいうと、膀胱炎や目の症状とかであれば一時的な症状が多く、完全に治る可能性は高いです。しかし、おそらく血圧や不眠、胃の症状については、薬を止めると再度症状が出始めるのではないかと思います。私はここが西洋薬の弱いところなのではないかと考えております。
逆に、漢方薬の場合は上記で解説した通り、体全体をみて「熱が溜まっているからすべての症状が起こっている→熱を取る漢方薬を考えよう」というように根本の体質から改善できる点が利点と考えております。
また、私の思う漢方薬の弱点は、中医学の考え方を得意とする医師・薬剤師が少ない(保険適応上の問題?西洋のエビデンス重視のため?)と感じる所です。体質などを考えて使わないと、効くものも効かないわけで…。
私が目指すところは、西洋薬×漢方薬×メディカルハーブなので、どれかに偏るのではなくバランスよく必要な薬やハーブを選択していきたいですね!
情報の整理のまとめ
ここまで読んでいただき、本当にお疲れ様でした! そして、ありがとうございます!
ここまで読んでいただければ
●意味わからないけど、何かしら考えがあること
●「熱」があり、それが今回の症状に繋がっている
などと考えて漢方薬は選ばれていると感じていただけたのではないかと思います!
学校で中医学を習うと、今まで西洋のやり方を習っていたところ、急に気だ血だ水だとやるものですから、胡散臭さが先行してしまうと思います。
しかし、さすが中国4000年の歴史があるといったところでしょうか? 先人が「〇〇という症候がある人は体の〇〇に熱が溜まっている」という感じの経験上の集合体が現在の中医学なので、意外と胡散臭いだけではない考え方だと、勉強すればするだけ思えると思います! 私がそうでした!!
最後に
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!!
今回の記事は漢方記事の「第0話」的な位置づけと私は考えております。
かなりざっくり書いている形になるので、端折ってしまっている部分が多々あります。※高血圧における「内風」、痰について等…。
今後は、中医学の基礎情報などを自分なりに咀嚼して、漢方に苦手意識を持っている方々に少しずつでも紹介していければと思っております。
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