こんにちは!
くくたる(twitterはコチラ)です!
【薬剤師歴11年目】
●フリーランス薬剤師
●管理薬剤師歴:調剤3年、OTC1年目
●1人薬剤師歴(調剤):2年
【漢方薬・ハーブの資格】
●国際中医師
●ハーバルセラピスト
●シニアハーバルセラピスト
※国際中医師は医師免許ではありません。
経験される方はあまり多くはないと思うのですが、男性の方で乳首の痛みや胸のはり・痛みを感じる場合があります!
※注意点として、胸の痛みは心臓痛のような内部痛ではなく、胸の表面の痛みです。乳房の痛みと表現した方がいいでしょうか。
私自身ではないのですが、過去に2人ほどそういう訴えを起こす方がいました。1人は私のおじいちゃん、もう1人は私の薬局を利用されている患者さんでした!
実はこの2人はある共通した医薬品を服用しておりました。
ある種の薬を使用していると乳房のはりや痛みの症状が出る可能性があるので、
①どのような薬があるか(患者さん向け)
②薬の構造式を考察する(薬剤師など医療従事者向け)
これらを紹介する記事となります!
①はサクッと短く前半に、②はやや長めに後半に、そんな編成にしております!
乳房のはり・痛みを起こす可能性のある薬剤
まず最初に、乳房のはりや痛みは薬の副作用の可能性があります。
医薬品の添付文書(医療用の説明書)では、女性化乳房、乳房痛、乳房腫脹、乳首痛、乳房不快感などと記載されております。
下記は医薬品の紹介です!
デュタステリド(アボルブ、ザガーロ)
副作用:1%以上
スピロノラクトン(アルダクトン)
副作用:0.1〜5%未満
カンレノ酸カリウム(ソルダクトン)
副作用:0.1〜5%未満
※注射剤のため、病院で検査を受けられる状況にあると思います。
クロルマジノン酢酸エステル(プロスタール)
副作用:0.1~5%未満
エプレレノン(セララ)
副作用:0.5%未満
フィナステリド(プロペシア)
副作用:頻度不明
アリルエストレノール(コバレノール、メイエストン)
副作用:頻度不明
フルタミド(オダイン)
副作用:1%以上
ビカルタミド(カソデックス)
副作用:5%以上、0.1~5%未満
ひとまず、私がすぐに思いつく範囲では以上です。
該当する医薬品があった場合は、
「自己判断で中止せず、処方してもらってる病院と薬をもらっている薬局に相談」
していただけると助かります!
あくまでも私がすぐに思いつく医薬品なだけですので「何かしらの服用中の薬があって、胸のはりや痛みがある場合」については病院や薬局に相談していただけると助かります!
各薬剤を分類
今回紹介した薬を大きく3つに分けます!
ここで、テストステロン、プロゲステロン、アルドステロンの構造式を紹介します!
テストステロン
プロゲステロン
アルドステロン
見てわかるとおり、全てステロイド骨格ですね!
では、今度は医薬品の副作用の割合と構造式を見ていきたいと思います。
先に伝えるポイントとして、下記のプロゲステロンの赤丸部分と副作用頻度に注目して見てみていただけると助かります!
各医薬品の構造式と副作用頻度
デュタステリド
スピロノラクトン
カンレノ酸カリウム
クロルマジノン酢酸エステル
エプレレノン
フィナステリド
アリルエストレノール
フルタミド
ちなみに恐らくですが、
こういう感じではないかと私は考えております。
ビカルタミド
フルタミド同様に、
このような感じだと考えております!
トリアムテレン
トリアムテレンは抗アルドステロン薬ですが、女性化乳房の副作用は記載ありません。
トリアムテレンも上のフルタミド、ビカルタミドのような感じでステロイド骨格に近い形と考えておりますが、赤丸の部分は存在しない構造式ですね!
構造式の共通点
どうでしょう? 赤丸の部分で見比べてみると何か見えてきそうではないでしょうか?
赤丸部分について
①女性化乳房の副作用が0.1~5%、1%以上に含まれるステロイド骨格の医薬品はすべて「-H」となっております!
②赤丸の部分に「-O-」がついているエプレレノンについては、副作用が0.5%未満となっております!
=「-O-」がアルドステロン受容体への選択性を高めていると考えられます。
③赤丸の部分がそもそも存在しないトリアムテレンについては女性化乳房の副作用の記載なしです!
緑丸の部分について
緑丸の部分についてはエステル化などで脂溶性を高めることで、薬理作用・作用時間に影響する部分と私は考えております。
詳しくは、下記の外用ステロイド比較記事やフィナステリド・デュタステリドの強さを比較した記事を見ていただけると助かります。
女性化乳房の原因として考えられること
①抗アルドステロン薬:
アルドステロン受容体だけでなく、プロゲステロン受容体などの性ホルモン受容体にも拮抗することが認められているため。
※この記事ではスピロノラクトンのみ取り上げられております。
②5α-還元酵素阻害薬:
フィナステリド、デュタステリド共にインタビューフォームより、アンドロゲン、エストロゲン、プロゲステロン受容体への親和性は認められなかったと記述があります。
なので、受容体への拮抗ではなくアンドロゲン作用(男性ホルモン作用)の低下により、相対的に女性ホルモン作用が増加するためと考えられます。
③抗アンドロゲン薬:
②と同様に、アンドロゲン作用(男性ホルモン作用)の低下により、相対的に女性ホルモン作用が増加するためと考えられます。
最後に
というわけで、今回は男性の乳首痛、胸・乳房のはり・痛みが起こる可能性のある医薬品とその構造式についての記事でした。
非ステロイド性抗アンドロゲン薬であるフルタミドとビカルタミドについて、構造式の考察が出来なかったことが悔しいです…。
実際、私の周りでも2名は女性化乳房が原因とされた症例があったため、多くはないのでしょうがそういう相談をされることはあると思います。
その時に痛み=整形外科などと考えるだけでなく、薬の副作用も疑うようにしてみるといいかもしれませんね!
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