こんにちは!
くくたる(twitterはコチラ)です!
【薬剤師歴11年目】
●フリーランス薬剤師
●管理薬剤師歴:調剤3年、OTC1年目
●1人薬剤師歴(調剤):2年
【その他資格】
●国際中医師
●ハーバルセラピスト
●シニアハーバルセラピスト
※国際中医師は医師免許ではありません。
今回の記事は、α-グルコシダーゼ阻害薬の構造式とグルコースの構造式の比較と、作用点の違いについて考察していきたいと思います!
この記事は、マルベリー(桑の葉)に含まれる血糖降下作用を持つデオキシノジリマイシン(DNJ)の記事を書くための前提条件となる情報です!
もしこの記事で共感していただけたら、是非マルベリーの記事についても見ていただけると嬉しいです!
それぞれの添付文書の比較
アカルボース(グルコバイ)
アカルボースは小腸粘膜微絨毛膜に存在するグルコアミラーゼ、スクラーゼ、マルターゼを用量依存的に阻害するほか、膵液及び唾液のα-アミラーゼを阻害し、食後の著しい血糖上昇を抑制する。
炭水化物(デンプン、マルトース、スクロース等)のα-グルコシダーゼによる加水分解を阻害し、消化管でのグルコース、フルクトースへの分解を直接抑制することにより糖質の吸収を遅延させる。
ボグリボース(ベイスン)
本剤は、腸管において二糖類から単糖への分解を担う二糖類水解酵素(α-グルコシダーゼ)を阻害し、糖質の消化・吸収を遅延させることにより食後の過血糖を改善する。
ブタ小腸由来マルターゼとスクラーゼに対してアカルボースよりそれぞれ約20倍及び30倍強い阻害作用を示し、ラット小腸由来マルターゼ及びスクラーゼ阻害活性はそれぞれアカルボースの約270倍及び190倍である(in vitro)。一方ブタ及びラット膵α-アミラーゼに対する阻害作用はアカルボースの約1/3,000であり、β-グルコシダーゼに対しては阻害活性を示さない。
ラット小腸由来のスクラーゼ-イソマルターゼの複合体の二糖類水解酵素に対する阻害様式は競合拮抗的である。
ミグリトール(セイブル)
ミグリトールは、小腸粘膜上皮細胞の刷子縁膜において二糖類から単糖への分解を担う二糖類水解酵素(α-グルコシダーゼ)を阻害し、糖質の消化・吸収を遅延させることにより食後の過血糖を改善する。
ラット小腸由来スクラーゼとイソマルターゼに対してアカルボースよりそれぞれ約6倍及び120倍強く、同様にボグリボースに対し1/3.6倍及び同程度の強い阻害作用を示した(in vitro)。一方、ラット膵α-アミラーゼに対する阻害作用は認められず、ラクターゼ及びトレハラーゼ活性を阻害することが報告されている(in vitro)。
ラット小腸由来スクラーゼ、イソマルターゼ、マルターゼに対する阻害様式は競合型である(in vitro)。
要約すると…
●アカルボースはα-アミラーゼとα-グルコシダーゼどちらも阻害
●ボグリボースはα-グルコシダーゼを阻害(α-アミラーゼ阻害活性は期待できない)
●ミグリトールはα-グルコシダーゼを阻害(α-アミラーゼ阻害活性は認められない)
※α-アミラーゼはデンプン(多糖類)を二糖類に分解する酵素
※α-グルコシダーゼ(マルターゼ、スクラーゼ、ラクターゼ、トレハラーゼ)は、二糖類を単糖に分解する酵素
アカルボースはα-アミラーゼも阻害して消費されるためか、α-グルコシダーゼ阻害作用はボグリボースやミグリトールに比べると弱い印象がありますね!
α(1→4)結合をしたグルコースの構造式例
グルコース4つ分ですね!
これを単糖にするために、α-アミラーゼが二糖類まで分解し、α-グルコシダーゼが単糖まで分解します!
これら酵素による分解は、加水分解であるところが重要です!
α-グルコシダーゼ阻害薬の構造式
添付文書等に記載ある構造式を見やすくするために向きなど書き直しております!
特にアカルボースは、α(1→4)結合のグルコース4つ分とすごく似てませんか?
また、ボグリボースとミグリトールは単糖~二糖類の形に見えますよね?
(ミグリトールは二糖類には見えないかもですが)
結果としてα-グルコシダーゼ阻害活性があり医薬品として用いられているため、この程度の構造の違いは、体内の酵素が勘違いをして反応をしてしまうことがわかると思います!
ちなみに、α-アミラーゼにせよ、α-.グルコシダーゼにせよですが、糖類の加水分解を行う部位は赤線の部位の結合部位です!
アカルボースやボグリボース、ミグリトールの構造はどうでしょうか?
Nが挟まっていたり、Hが存在するのみだったりと、加水分解はできないことが想像つくと思います!
結論
●アカルボースは多糖類の構造に似ているため、α-アミラーゼを阻害し、α-グルコシダーゼも阻害する!
●ボグリボース、ミグリトールは二糖類の構造に似ているため、α-グルコシダーゼを阻害する!
参考文献
インターネット
書籍
●青本2012の生物・薬理(もう8年も前…)
最後に
というわけで、今回はα-グルコシダーゼ阻害薬の構造式から見る作用の違い・強さ比較でした!
正直、もうすでに知ってる情報が多いと思いますし、考察もかなり甘いと思います!
もっと色々と考察できるよう精進していきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします!
導入文でも記載しましたが、本記事はマルベリー(桑の葉)に含まれるα-グルコシダーゼ阻害作用のあるデオキシノジリマイシン(DNJ)の考察を行うための記事です!
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