こんにちは!
くくたる(twitterはコチラ)です!
【薬剤師歴11年目】
●フリーランス薬剤師
●管理薬剤師歴:調剤3年、OTC1年目
●1人薬剤師歴(調剤):2年
【ハーブ・アロマの資格】
●ハーバルセラピスト
●シニアハーバルセラピスト
●アロマテラピー検定1、2級
●国際中医師
※国際中医師は医師免許ではありません。
今回は、マルベリー(桑の葉)のα-グルコシダーゼ阻害作用について、構造式の観点から考察をしていきたいと思います!
2型糖尿病治療の場合、食事指導をする・されると思うので、服用中の薬と相談しながら、マルベリー(桑の葉)茶で食事改善出来ると良いのではないかと考えております!
マルベリーの基礎情報
学名:Morus alba
科名:クワ
使用部位:葉部
※マルベリーの根皮は桑白皮(ソウハクヒ)として日本薬局方に収載されています。
マルベリーの主要成分
●デオキシノジリマイシン(DNJ):0.1~0.2%
●γ-アミノ酪酸(GABA)
●クロロフィル
●フィトステロール(β-シトステロール)
●ミネラル(鉄、カルシウム、亜鉛)
マルベリーはメディカルハーブの中で亜鉛が含まれているという特徴もあります!
メインに紹介したい成分はデオキシノジリマイシン(DNJ)です!
亜鉛はインスリンの安定性を高める上で重要なため、一石二鳥な感じのメディカルハーブですね!
作用と適応
作用:α-グルコシダーゼ阻害作用による血糖調整
適応:高血糖や肥満などの生活習慣病予防
マルベリーに含まれるデオキシノジリマイシン(DNJ)がα-グルコシダーゼ阻害作用があるため重要な成分です!
その他の作用に関する情報
マルベリーは、マルトース、スクロース、マルトデキストリン、グルコースのGI値をそれぞれ53.11%,33.51%,31.00%,8.12%低下させたという報告があります!
安全性・相互作用について
安全性:クラス1(適切に使用すれば安全)。
相互作用:クラスA(相互作用が予測されない・起こると考えられていない)
α-グルコシダーゼ阻害作用があるため、腹部膨満感(お腹の張り、ガスがたまる)が出てしまう可能性はあるかもしれませんので注意です!
その他の安全性・相互作用の情報
桑の葉抽出物は、OATP2B1を中程度に阻害したという報告があります!
※柑橘系飲料および健康食品による有機アニオントランスポーターOATP2B1を介した薬物‐飲食物間相互作用 – 九大コレクション | 九州大学附属図書館
OATP2B1に関連する薬剤には注意する必要がありますが、文献では緑茶が82.1%阻害、桑の葉が39.1%の阻害であると記載がある点と、相互作用クラスAに分類されていることから、私は注意程度にとどめて考えております!
※文献は下記の参考資料に載せてます。
αグルコシダーゼ阻害薬との構造の比較・考察
構造式の比較です!
α-グルコシダーゼ阻害作用のあるミグリトールやボグリボースとかなり近い形をしていることがわかると思います!
中でも、ミグリトールとはほとんど形が似ていることがわかると思います!
違う部分は赤丸の部分ですね!
ミグリトール(以下、本剤)は、デオキシノジリマイシンの新規誘導体として一連の探索研究において見い出され、非臨床試験においてアカルボースと同等以上の薬理作用を有することが明らかになった。
https://www.info.pmda.go.jp/go/interview/1/300297_3969009F4022_1_012_1F.pdf
ちなみにセイブル(ミグリトール)のインタビューフォームには上記のように記載されており、デオキシノジリマイシンの誘導体として開発された経緯があります!
アカルボースについては、構造が少し違うためこの記事では比較しておりませんが、α-グルコシダーゼ阻害薬の比較の記事に記載しております!
抽出について
目安として、1回3gを熱湯150mLで約5分間抽出します!
出来れば食事の10〜15分前くらいが良いと考えられます!
デオキシノジリマイシンの含有量は?
①マルベリー3g=3000mg
②デオキシノジリマイシンは0.1~0.2%含有されている
以上より、3~6mg程度含まれていると考えられます!
どんな人に勧めるか?
①2型糖尿病予備軍と診断され薬物療法を行っていない方!
②2型糖尿病治療中で食事の改善を指示されている方!
②の場合はα-グルコシダーゼ阻害薬を使用していない方です!
使用している方の場合は腹部膨満感のリスクが上がったり、競合阻害を起こして逆に悪化すると本末転倒のためこのように考えております!
※あくまでも個人の見解です。
参考文献
インターネット
「健康食品」の安全性・有効性情報〔国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所〕
柑橘系飲料および健康食品による有機アニオントランスポーターOATP2B1を介した薬物‐飲食物間相互作用 – 九大コレクション | 九州大学附属図書館
セイブルのインタビューフォーム(PMDA)※PDF直リンク
書籍
●ハーバルセラピスト 第6版(非売品)
●メディカルハーブの事典 改訂新版 主要100種の基本データ
最後に
というわけで、今回はマルベリー(桑の葉)のα-グルコシダーゼ阻害作用について記事にしてみました!
構造式で紹介できると説得力が出るのではないかなと思いますが、いかがでしたでしょうか?
α-グルコシダーゼ阻害薬の比較記事のリンクを貼っておきます!
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