こんにちは!
くくたる(twitterはコチラ)です!
●フリーランス薬剤師
●管理薬剤師歴:3年
●国際中医師
●シニアハーバルセラピスト
●20/08時点で100記事到達!
※国際中医師は医師免許ではありません。
八味地黄丸(はちみぢおうがん)、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)、どちらも高齢者の処方で見る機会が多い薬ではないでしょうか?
患者さんに聞いてみると腰が痛みやしびれ、頻尿だったり、耳鳴りだったり…色々な状況で使われますよね!
実は私が当時、最も苦手だった漢方薬が八味地黄丸でした!
あまりにも色々な症状に使うわ、作用機序の説明ができないわで非常にドキドキしながら服薬指導をしていたものです…。
というわけで今回は、これらの違いを作用機序(生薬の役割)を比較しながら紹介したいと思います!
この記事を読むことで、少しでも漢方薬の苦手意識克服の助けになれば幸いです!
八味地黄丸(はちみじおうがん)とは
八味地黄丸の構成生薬
地黄(ジオウ)、山茱萸(サンシュユ)、山薬(サンヤク)、沢瀉(タクシャ)、茯苓(ブクリョウ)、牡丹皮(ボタンピ)、桂皮(ケイヒ)、附子(ブシ)
八味地黄丸はどのような人に使うか?
腎虚の人
腎陽虚・腎陰虚どちらもですが、腎陽虚>腎陰虚のイメージです。
※腎虚になるとどういう症状がでるのか? について下記記事を見ていただけると助かります!
八味地黄丸の生薬の特徴
①腎陰・血を補給する生薬:地黄
腎に足りていない栄養を補います!
※陰液は冷やす性質・潤す性質あり!
②腎気を補給する生薬:山薬
気を補うことで腎の機能改善を行います!
③固摂作用・肝腎を補う:山茱萸
※固摂作用は漏れ出ることを防ぐので尿漏れを改善します!
④熱を冷ます生薬:牡丹皮(活血作用も!)
※活血:血の巡りをよくする
⑤水分代謝をする生薬:沢瀉、茯苓
水分代謝を改善して尿トラブルや膝の水などの改善に!
⑥体を温める生薬:桂皮、附子
温めることで溜まっている水分を動かしやすくなったり、手足の冷えなどがある場合にも!
まとめると、腎陽・腎陰どちらも補うので、腎虚のスペシャリストです!
※腎虚では、六味地黄丸との使い分けも重要です!
八味地黄丸の効能・効果(市販薬)
体力中等度以下で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量減少又は多尿で、ときに口渇があるものの次の諸症:下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、かゆみ、排尿困難、残尿感、夜間尿、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、頭重、耳鳴り)、軽い尿漏れ
牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)とは
牛車腎気丸の構成生薬
八味地黄丸の生薬+牛膝(ゴシツ)+車前子(シャゼンシ)
牛車腎気丸はどのような人に使うか?
腎虚の人
牛膝と車前子が追加されることで、より下半身の痛みやしびれ、水分代謝に特化するイメージです!
牛車腎気丸の生薬の特徴
●牛膝は利水や引血下降(いんけつかこう)作用などを持つ生薬!
引血下降は、血を下半身に持ってくる作用です!
腰や膝の痛み、しびれ、頻尿など、下半身の症状に薬効を集中させたいときに使われます!
牛膝は他にも肝・腎を補う作用や、筋肉や骨を充実させる作用、筋肉の緊張を和らげて痛みを和らげる作用などもあります!
●車前子は利水、清熱作用のある生薬!
利水=水分代謝の改善
清熱=熱を冷まして、痛みや炎症の緩和
牛車腎気丸の効能・効果
体力中等度以下で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく尿量減少し、むくみがあり、ときに口渇があるものの次の諸症:下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、かゆみ、排尿困難、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、頭重、耳鳴り)
八味地黄丸と牛車腎気丸のまとめ・比較表
八味地黄丸
耳鳴りなど、下腹部だけでなく腎虚の症状が全身にある場合に!
(下腹部に集中させたい時以外)
牛車腎気丸
八味地黄丸の効果を腰や膝、腎臓・膀胱などの下腹部に集中させたい場合に!
牛膝、車前子が追加されているので、痛みやしびれ、水分代謝の強化が期待できる!
(八味地黄丸で効果はあるが、もう少し強めたい場合にも)
地黄丸シリーズまとめ
最後に
というわけで、今回は八味地黄丸と牛車腎気丸の使い分けの紹介でした!
今回の記事を動画で観る・聴く場合はコチラ!※Youtubeにリンクします
冒頭でも記載しましたが、八味地黄丸は当時私が最も苦手としていた漢方薬で、わかりにくい部分とか受け入れにくい部分があった記憶があります!
「漢方薬の効果ってうさんくさい」
と思っている方がいたら、私はそれでいいと思っています!
あるそのうさんくさい症状を訴えてくる患者さんが現れたりするので、そういう時にご紹介できたり、自分にはこの薬かな?と思い出すきっかけになれたら幸いです!
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