こんにちは!
くくたる(twitterはコチラ)です!
【薬剤師歴11年目】
●フリーランス薬剤師
●管理薬剤師歴:調剤3年、OTC1年目
●1人薬剤師歴(調剤):2年
【漢方薬・ハーブの資格】
●国際中医師
●ハーバルセラピスト
●シニアハーバルセラピスト
※国際中医師は医師免許ではありません。
冬は乾燥や冷えから喉や肺を傷めやすく、風邪をひきやすい時期ですね!
その中でも悪化するとなかなか厄介なのが鼻づまり…。
というわけで、今回は鼻づまりの経過・状況に応じて使用する漢方薬が変わるので、その紹介をしたいと思います!
ひとことで鼻詰まりといっても1人1人状況は違うため、どのような鼻づまりかを把握することはセルフメディケーションや服薬指導において役立ちますので、参考にしていただけたら幸いです!
鼻詰まりの段階
個人的に鼻水のイメージは目玉焼きで説明することが多いので、図を添付します!
どうでしょう? イメージ沸きますかね?
卵については、卵が割れると鼻詰まりが発生し始める(良くなったり悪くなったり)イメージです!
①鼻水期
鼻水期は多量の水が鼻(五臓:肺)に留まっている状況です!
冬の寒さなど、冷えると水の動きが悪くなり一部に滞りやすくなります!(水滞)
この時期は、
サラサラの鼻水が多量に出ている状況です!
水滞についてはコチラで紹介しています!
②鼻づまり初期
鼻づまり初期は卵を割ったばかりのイメージで、ドロッとした液体(白身や黄身)が生じた状況です!
サラサラの水だったのがとどまり続けることにより、ドロッとした液体に変化します!(痰湿発生)
①で紹介したように、冷えることで痰湿の動きも悪くなります!(脂を冷やすと固まり始めて動きが悪くなるイメージです)
イメージばかりで申し訳ございません…!
この時期は、
身体が冷えると鼻詰まりが発生し、温まると改善します!
経験されたことがある方も多いのではないでしょうか?
③鼻づまり中期
鼻づまり初期の状態が続くと、身体は徐々に熱(炎症)が発生します!
熱が生じると、徐々に卵は固まり始めてきますね!
熱が長引くと陰液(血、津液)が消耗します!
よりドロッと、ベタっとした色のついた鼻水(黄色や緑)が発生し、鼻詰まりが悪化します!
※菌に感染した場合も、中医学では炎症(=熱)と考えます!
②の状況では冷やすことで鼻づまりを起こしましたが、
この時期は身体(鼻、肺)に熱(炎症)が発生して、熱で徐々に水分が奪われて鼻水がドロッとして鼻づまりが発生します!
※イメージ図の卵はタンパク質の編成で固まりますが、水分が抜けてドロッと固まり始めるイメージを持っていただけると助かります。
※熱の発生源は菌による炎症であったり、体温そのものであったりです。体温でも長期的に同じ場所に留まることで熱が発生します。
④鼻づまり後期
鼻づまりの後期は、中期の状態がさらに長引き熱によって陰液(血と津液)が消耗し、乾燥が発生します!
鼻水は全くでないけど鼻詰まりが生じる状態です!(乾燥した鼻づまり)
葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)とは?
葛根湯加川芎辛夷の構成生薬
葛根(カッコン)、川芎(センキュウ)、辛夷(シンイ)、桂枝(ケイシ)、麻黄(マオウ)、芍薬(シャクヤク)、大棗(タイソウ)、生姜(ショウキョウ)、甘草(カンゾウ)
生薬の特徴
●鼻の通りを良くする辛夷が配合されている!
辛夷は宣肺通鼻と言って、鼻の通りを良くする生薬です! 副鼻腔炎や蓄膿症に使用されるのも納得ですね!
●川芎は活血・行気作用のある生薬!
活血・行気作用は血と気の巡りを改善する作用です。血や気の巡りが改善することで、津液(鼻水)の巡りも改善します!
●身体を温める葛根湯が含まれる!
総合して、身体を温めることで鼻水の停滞を解消し、鼻詰まりを改善する漢方薬と考えられます!
どのような鼻づまりに使用するか?
上の図でいう②の冷えることで鼻詰まりを起こす状態に適していると考えられます!
葛根湯加川芎辛夷の効能・効果(市販薬)
比較的体力があるものの次の諸症:鼻づまり、蓄膿症(副鼻腔炎)、慢性鼻炎
葛根湯に関する記事はコチラもあります!
荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)とは?
荊芥連翹湯の構成生薬
荊芥(ケイガイ)、連翹(レンギョウ)、防風(ボウフウ)、百̪芷(ビャクシ)、黄芩(オウゴン)、黄連(オウレン)、黄柏(オウバク)、山梔子(サンシシ)、当帰(トウキ)、芍薬(シャクヤク)、川芎(センキュウ)、地黄(ジオウ)、柴胡(サイコ)、枳実(キジツ)、甘草(カンゾウ)、桔梗(キキョウ)、薄荷(ハッカ)
生薬の特徴
●黄連解毒湯(清熱剤)の処方構成が含まれる:黄芩、黄連、黄柏、山梔子
●四物湯(補血剤)の処方構成が含まれる:当帰、芍薬、川芎、地黄
黄連解毒湯、四物湯についてはこちらの記事で紹介しています!
●解表剤が5種類含まれる!
辛温解表:荊芥、防風、百芷
辛涼解表:薄荷、柴胡
解表薬は、身体を温めたり抗菌作用などにより、体表面についている外邪(冷えや菌など外側から脅かすもの)を発散(改善)させる生薬です!
●薄荷と柴胡は辛涼解表だけでなく肝気うっ結の解消にも!
肝気うっ結は、ストレスなどで上半身に気滞が起きて肩こりや頭痛などの原因となる状態です!
気滞により熱を持ったり、水滞も引き起こして鼻づまりの原因となるため、ストレス解消のための生薬が役立ちます!
●連翹による清熱、排膿作用!
清熱は熱を冷ます・炎症を抑える作用、排膿は膿を出す作用です!
●桔梗による化痰、排膿作用!
化痰はベタつくものをサラっとしたものに分解する作用です!
ベタつく鼻水・痰の改善に役立ちます!
●枳実による化痰、理気作用!
理気作用は気の流れを解消する作用です!
上で紹介した薄荷・柴胡とあわせてストレス解消・気の巡りの改善に役立ちます!
●川芎は活血・行気作用のある生薬!
活血・行気作用は血と気の巡りを改善する作用です。血や気の巡りが改善することで、津液(鼻水)の巡りも改善します!
総合して、炎症を改善する作用と長期化することで失われていく陰液(血・津液)を補う処方構成となっており、ベタつく色のついた鼻水による鼻づまりを改善する漢方薬と考えられます!
どのような鼻づまりに使用するか?
上の図でいう③の鼻詰まりが長期化し始め、ベタつく色のついている鼻水の鼻づまりに適していると考えられます!
荊芥連翹湯の効能・効果(市販薬)
体力中等度以上で、皮膚の色が浅黒く、ときに手足の裏に脂汗をかきやすく腹壁が緊張しているものの次の諸症:蓄膿症(副鼻腔炎)、慢性鼻炎、慢性扁桃炎、にきび
辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)とは?
辛夷清肺湯の構成生薬
知母(チモ)、黄芩(オウゴン)、辛夷(シンイ)、百合(ビャクゴウ)、山梔子(サンシシ)、升麻(ショウマ)、麦門冬(バクモンドウ)、石膏(セッコウ)、枇杷葉(ビワヨウ)
生薬の特徴
●鼻の通りを良くする辛夷が配合されている!
辛夷は宣肺通鼻と言って、鼻の通りを良くする生薬です! 副鼻腔炎や蓄膿症に使用されるのも納得ですね!
●清熱・生津を行う知母が配合されている!
清熱は熱を冷ます・炎症を抑える作用、生津は津液(陰液)を生み出す作用です!
陰液は冷やす性質があるため、生津により熱を冷ます作用も期待できます!
知母は潤いを与えて冷やす生薬と覚えると他の漢方薬で出てきた時にもイメージしやすいと思います。
●清熱・燥湿作用のある黄芩、山梔子が含まれている!
熱を冷ます・炎症を抑える作用と、乾燥させる作用があります!
膿んでジュクジュクしているような部位は、熱と湿が生じていると考えられます!
●清熱作用が特に強い石膏が含まれている!
石膏が入っている=冷やす性質が強いと考えていいくらい冷やしてくれます!
石膏については、麻杏甘石湯で紹介しております!
●陰液を補う麦門冬、百合が含まれている!
陰液(血と津液)を補うため、乾燥した部位に潤いを与えます!
潤いがなくなると熱や乾燥が発生しやすくなるため、潤わせて冷やすイメージですね!
●化痰作用のある枇杷葉が含まれている!
化痰はベタつくものをサラっとしたものに分解する作用です!
ベタつく鼻水・痰の改善に役立ちます!
総合して、陰液(血・津液)を補う生薬と炎症を抑える生薬が入っているため、ベタつく鼻水~鼻水が枯れて出ないのに鼻づまりが発生するような症状に適した漢方薬ですね!
どのような鼻づまりに使用するか?
上の図でいう④の鼻詰まりが長期化しておりベタつく鼻水~鼻水が乾燥してるのに鼻づまりがあるような状況に適していると考えられます!
辛夷清肺湯の効能・効果(市販薬)
体力中等度以上で、濃い鼻汁が出て、ときに熱感を伴うものの次の諸症:鼻づまり、慢性鼻炎、蓄膿症(副鼻腔炎)
まとめ
葛根湯加川芎辛夷
冷えると鼻詰まりが発生し、温めると楽になるような鼻づまりに!
荊芥連翹湯
鼻詰まりが長期化しはじめ、ベタつく色(黄色や緑)のつく鼻詰まりに!
辛夷清肺湯
鼻詰まりが長期化し、ベタつく~鼻水が乾燥して出ないのに生じる鼻づまりに!
最後に
というわけで、今回は鼻水・鼻づまりの状況と葛根湯加川芎辛夷、荊芥連翹湯、辛夷清肺湯の使い分けについて紹介しました!
今回の記事を動画で観る場合はコチラ!※Youtubeにリンクします!
鼻水は長引くと副鼻腔炎など悪化してしまい治療期間が長引くことがあるため、早めに治療できるといいと思います!
セルフメディケーションや処方があり服薬指導する場合に役立てれば幸いです!
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