こんにちは!
くくたる(twitterはコチラ)です!
【薬剤師歴11年目】
●フリーランス薬剤師
●管理薬剤師歴:調剤3年、OTC1年目
●1人薬剤師歴(調剤):2年
【その他資格】
●国際中医師
●ハーバルセラピスト
●シニアハーバルセラピスト
※国際中医師は医師免許ではありません。
花粉症の飲み薬は市販薬でもかなり種類が増えてきていますよね!
病院で処方頻度が多く市販薬でも販売されている成分は、
フェキソフェナジン、ベポタスチン、エピナスチン、ロラタジン、(セチリジン)
※セチリジンはレボセチリジンの処方頻度が多いため一応記載
このあたりだと考えられます!
【処方頻度の判断方法】
①薬局全店舗の年間のGE・先発医薬品の累計をとる
②一般的な用量で割る
①②を合わせて処方頻度を判断しました!
※例えばフェキソフェナジン錠60mgの場合、1日2回 1回1錠として処方頻度を判断しています。
今回は花粉症の薬の【初めて使う場合の選び方のポイント】と【効き目が悪かった場合の薬の選び方のポイント】に分けて紹介します!
※大人用の花粉症治療薬の比較
選び方のポイント①眠気が少ないものを選ぶ!
これ、実はとっても大切です!
なぜなら、眠気が出る薬を服用して自動車事故や機械事故を起こしてしまった場合、責任問題に発展する可能性があるためです!
参考として、東京海上日動火災保険の情報を引用します!
市販の風邪薬のパッケージに「服用後、車の運転をしないでください」と注意書きがあるのに、その風邪薬を服用して車を運転した場合、法律違反になるのでしょうか。
(1)道路交通法違反になる(過労運転等の禁止 第66条 ~略~ 過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。)
車の運転と薬の関係 | 安全運転ほっとNEWS | 東京海上日動火災保険
普段から車の運転や機械操作などをする方の場合には、パッケージ内容の記載に注意をする必要がありますね!
また、インペアードパフォーマンスについても考える必要があります!
インペアードパフォーマンスとは?
眠気を自覚していなくても集中力、判断力の低下や作業能率の低下を招くことです!
眠気やインペアードパフォーマンスのリスクがあるため【眠気が少ないものを選ぶ】を1番のポイントにしました!
ここからは眠気が少ない花粉症の薬を紹介します!
冒頭で紹介した花粉症の市販薬は【第2世代抗ヒスタミン薬】に属している薬で、これらの薬は眠気のリスクが比較的少ないものになっています!
その中でも特に眠気のリスクが低く「車の運転や機械操作に対する注意が書いてない成分」が2種類あるため紹介します!
フェキソフェナジン
●価格が非常に安いため継続しやすい!※アレルビに関して
●空腹時(食前)の方が吸収量が多い!
●ロラタジンと比べてさらに眠気のリスクが少ない!
●他の医薬品との相互作用が少ないが、水酸化マグネシウム・水酸化アルミニウムによる吸収量の低下が報告されている!
●オレンジジュースやグレープフルーツジュースとの服用で吸収量の低下が報告されている!
ロラタジン
●1日1回で飲みやすい!
●他の医薬品との相互作用がフェキソフェナジンと比べて少ない!
●フェキソフェナジンと比べて効果の個人差が出やすい!
フェキソフェナジンとロラタジンはどちらも眠気に関する注意はありません!
その中でもどちらの方が眠気が少ないかというと、フェキソフェナジンの方が眠気のリスクが少ないと考えられております!
※鼻アレルギー診療ガイドライン2020年版(改訂第9版)の脳内H1受容体占有率より判断
【フェキソフェナジン、ロラタジンの効力比較の記事はコチラ】
第二世代抗ヒスタミン薬の強さ(効果)比較と構造式による分類【Pubmed文献参考】
※アレルギー性鼻炎での比較でないためあくまでも参考程度でお願いします。
※フェキソフェナジンとロラタジンに関しては日本人を対象とした試験です。
選び方のポイント②服用回数と価格で選ぶ!
市販薬の魅力の1つは「自分で薬を選べること」ですよね!
その中でも選ぶ際のポイントは、服用回数や価格の問題があると思います!
第2世代抗ヒスタミン薬は1日1~2回で服用するため、冒頭で紹介した5種類の薬をそれぞれ分けて紹介します!
基本的には花粉シーズンは毎日服用することをオススメするため、服用回数と価格はとても重要ですよね!
1日1回タイプ
ロラタジン、エピナスチン、セチリジン
車の運転の注意書きがない薬はロラタジンですが、エピナスチン、セチリジンも眠気の影響は大差がないと考えられます!(むしろエピナスチンの方が若干ですが影響が少ない可能性あり)
※鼻アレルギー診療ガイドライン2020年版(改訂第9版)の脳内H1受容体占有率より判断
万が一ロラタジンで効き目がなかった場合で1日1回タイプが良い場合には、エピナスチンやセチリジンが選択肢になりますね!
1日2回タイプ
フェキソフェナジン、ベポタスチン
フェキソフェナジンとベポタスチンを比べた場合は、眠気のリスクはフェキソフェナジンの方が少ないと考えられます!
ただ、ベポタスチンのリスクが高いわけではなく、ベポタスチンはロラタジン(注意書きなし)やセチリジンと同程度と考えられます!
※鼻アレルギー診療ガイドライン2020年版(改訂第9版)の脳内H1受容体占有率より判断
1日当たりの価格で比較した場合のランキング!
Amazonの大容量価格を参考にしましたが、値段は変動する可能性があるため順位のみ紹介します!
【1位】アレルビ(フェキソフェナジン)
【2位】新コンタック鼻炎Z(セチリジン)
【3位】アレジオン20(エピナスチン)
【4位】クラリチンEX(ロラタジン)
【5位】タリオンAR(ベポタスチン)
タリオンAR(ベポタスチン)は2022.3時点で要指導医薬品でネット販売不可のため希望小売価格で算出しています!
花粉症の薬の効き目が悪かった場合
「去年の花粉症シーズンに○○を使ってみたけど効き目がいまいちだった!」
「病院で○○をもらっていたけど効き目がいまいちだった!」
「病院で○○をもらっていて効き目があったけど、市販薬で似たものはないか?」
以前に何か使用したことがある場合には、その時の使用感も含めて花粉症の市販薬を検討してみると良いと思いますのでポイントを紹介します!
効き目が悪かった場合の選び方①骨格で分類
冒頭では第2世代抗ヒスタミン薬(フェキソフェナジン、ベポタスチン、エピナスチン、ロラタジン、セチリジン)を紹介しました!
これらは大きく①三環系骨格、②ピペリジン骨格、③ピペラジン骨格に分けられます!
万が一効き目が悪かった場合には、別の骨格の薬を選ぶと効き目が期待できる可能性があると考えられているため、骨格による分類を表で紹介します!
第2世代抗ヒスタミン薬の構造式の比較表
表は市販薬以外の第2世代抗ヒスタミン薬も含まれていますので、病院でもらっていた場合の成分も含めて検討をしてみるといいと思います!
骨格別に市販薬を紹介します!
ロラタジン(三環系骨格)
※車の運転の注意なし
エピナスチン(三環系骨格)
フェキソフェナジン(ピペリジン骨格)
※車の運転の注意なし
※先発医薬品名:アレグラ
ベポタスチン(ピペリジン骨格)
タリオンAR
※要指導医薬品のためネット販売不可
セチリジン(ピペラジン骨格)
※先発医薬品名:ジルテック
効き目が悪かった場合の選び方②効果の強さで比較
大前提として、第2世代抗ヒスタミン薬の効果比較で明確な基準はありません…!
ただ、それでは私は納得ができなかったため、いくつかの臨床試験の論文から薬効比較を考察した記事がコチラです!
第二世代抗ヒスタミン薬の強さ(効果)比較と構造式による分類【Pubmed文献参考】
※アレルギー性鼻炎での比較でないためあくまでも参考程度でお願いします。
薬効比較を冒頭で紹介した5種類の薬に当てはめると、
①セチリジン > エピナスチン > フェキソフェナジン > ロラタジン
②セチリジン > フェキソフェナジン、ベポタスチン
このような順となりました!
しつこいですが、花粉症・アレルギー性鼻炎を対象とした臨床試験ではありません!
薬を選ぶ際にテキトーに選ぶよりはマシになるのではないか程度に思っていただけると助かります!
参考文献
最新のアレルギー性鼻炎治療―ガイドライン改訂と抗ヒスタミン薬による治療戦略―
※鼻アレルギー診療ガイドライン2020年版(改訂第9版)の脳内H1受容体占有率の改変(?)が載っています
最後に
というわけで、今回は花粉症の市販薬の選び方について紹介しました!
「絶対にコレ!」という薬はございませんが、初めて使用する方に関してはフェキソフェナジンが効果と眠気・集中力の低下のリスクのバランスが優れていると私は考えております!
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