【第11回】脾・胃の機能・機能異常【漢方・中医学が苦手な方向けの勉強法】

くくたる@薬剤師
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こんにちは!

くくたる(twitterはコチラ)です!

【薬剤師歴11年目】
●フリーランス薬剤師
●管理薬剤師歴:調剤3年、OTC1年目
●1人薬剤師歴(調剤):2年

【漢方薬・ハーブの資格】
国際中医師
●ハーバルセラピスト
●シニアハーバルセラピスト
※国際中医師は医師免許ではありません。

 

今回は、五臓六腑のうちの脾について紹介していきたいと思います!

 

脾は胃腸、膵臓など消化・吸収機能を総括した架空の臓器と考えていただけると理解しやすくなると思います!

 

胃や脾は食べ物を吸収するための最初の窓口で、気・血・津液・精を生成するために重要な臓腑です!

 

くくたる@薬剤師
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食養生についても一緒にイメージができるようになりますので、日常生活の服薬指導に活かしやすくなり一石二鳥ですよ!

脾の定義

脾の関係のイメージ図

まずはイメージがあった方がいいと思うのでイラストです!

脾は胃、肌肉(きにく)、唇、口と関係が深く、脾の状態が反映されます!

 

重要

脾は湿気に弱く乾燥に強いという特徴があります!

※胃と逆

 

脾は運化(うんか)と昇清(しょうせい)を主る(つかさどる)

言葉は難しく書いてありますが、飲食物を吸収して気・血・津液・精の生成源として全身に運ぶことを運化とを言います!

吸収されたものを血管やリンパ管を通って頭部など上部に輸送されることを昇清(上にあげる)と言います!

 

くくたる@薬剤師
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胃腸の消化吸収機能の話なので、言葉は馴染みないかもですがイメージはしやすいと思います!

 

脾は血を統める(おさめる)

気の固摂作用(こせつさよう)に関する機能ですね!

 

固摂作用は、血液や汗などが外側に漏れ出ることを防ぐ作用ですが、その中でも脾は統血といって、血液が血管の外に漏れ出ないよう保つように働きます!

 

くくたる@薬剤師
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脾が弱ると、出血傾向になってしまうとイメージしておくといいかもしれません!

 

気の作用についてはコチラ

 

その他

●脾は肌肉四肢(きにくしし)を主る:消化吸収された栄養物質が、肌や筋肉に栄養を与えること。

●脾は口に開竅(かいきょう)する:食欲や味覚など、脾に異常があると障害が現れます。

 

要約すると…

①飲食物を消化・吸収して、気・血・津液・精を生成し、全身に運びます!

→気・血・津液・精の生成に最も重要です!

②消化物を上に運びます(胃との違い)

③血液を血管から漏れ出ないようにする作用(気の固摂)を担っています!

食欲や味覚(口)は、脾や胃の状態と関連します!

胃の定義

重要

胃は乾燥に弱く、湿気に強いという特徴があります!

※脾と逆

 

胃は受納(じゅのう)と腐熟(ふじゅく)を主り、降濁(こうだく)を主る

胃酸による消化機能と、幽門や噴門、胃の運動により飲食物を下側に送り出す作用があります!

 

本来下に送る能力があるのですが、げっぷや嘔吐などで逆流する場合は胃気逆といって、胃の気が逆流した状態になる場合があります!

 

要約すると

①胃酸で消化する!

②消化物を下に送り出す(脾との違い)

脾の機能異常

脾の機能異常を3つ紹介します!

 

脾気虚

脾の機能が低下することです!

食欲がなくなったり、消化・吸収・代謝がうまくいかなくなります!

 

また、脾は口と関係するため機能低下により味覚が落ちることにも関係しています!

※脾は口に開竅(かいきょう)する→脾の機能低下が味覚にも反映→味覚も機能低下

 

他にも、消化吸収代謝がうまくいかないため、疲れやすい、軟便などの症状が出る場合もあります!

 

中気下陥(ちゅうきげかん)

気が巡らずに落ちてしまうことです!

脾気虚の状況+αとして出てしまうことがあります!

 

四肢がだらんとして倦怠感を感じたり、胃下垂や脱肛などの臓器の下垂などの症状が出ます!

 

ちなみに、臓器を持ち上げる作用を昇提(しょうてい)といい、補中益気湯が持ち上げる作用があります!

 

 

脾不統血(ひふとうけつ)

鼻の出血・皮膚出血・血尿・血便・不正出血などが起こります!

 

脾の統血作用が低下するため、出血症状が現れてしまうことですね!

胃の機能異常

胃の機能異常を3つ紹介します!

 

胃熱

口渇・口臭・口苦などの症状や、胸やけ、嘔吐などの症状と関連します!

胃に熱が溜まると、胃の機能が亢進して食欲増進(暴飲暴食)になってしまう場合もあります!

 

重要

アルコール、脂物、甘いものや、カロリーの高いものを摂取すると胃が消化のために頑張りすぎてしまう→熱を持つ→胃熱状態になりやすいです!

 

ちなみに、西洋でいう胃と心臓が近いこともあり、胃熱→心に熱が伝わる→心火となり、不眠の原因にもなります!

不眠の解消方法の1つに、夜ご飯ではアルコールや脂物、甘いものやカロリーの高いものを控えることも関係します!

 

心火についてはコチラ

くくたる@薬剤師
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中医学の知識が食養生に繋がるところが私は面白いと思います!

 

 

胃寒

胃が冷えることで現れる症状です!

冷たいものを食べて痛む(温めると改善する)、水っぽい嘔吐(冷えると胃の機能が低下→正常に消化できなくて水っぽい嘔吐に)、水様便などが起こります!

 

胃陰虚

胃の陰液が少ないことです!

消化不良や胸やけ、食欲不振などが起こります!

 

西洋医学だと変な感じがしますが、胃酸や胃粘膜はどちらも胃の陰液と考える所がポイントです!

陰液=血や津液、精のこと

まとめ

①脾は湿気が苦手なので、水分を取りすぎたりしてうまく消化吸収されないと機能が低下する!

②胃は熱を持つと食欲が増進してしまう。逆に、食欲が旺盛な場合、胃熱を持っている!

 

例えば夏バテ

暑いから冷たいものが欲しい→冷たいものをたくさん飲む→脾の機能が低下して気・血・津液・精がうまく作れず、疲れるという流れで考えます!

 

特にビールなどのお酒だと、アルコール=胃熱と考えるため、食欲が上がる→だけど消化吸収が脾の低下で追いつかない→下痢や嘔吐という感じで悪循環します…!

 

くくたる@薬剤師
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●胃と脾が強い人:食欲旺盛で代謝も高い(太りにくい)

●胃が強く、脾が弱い:食欲旺盛だが代謝が悪い(太りやすい)

●胃と脾が弱い:食欲もあまりなく、代謝も悪い

 

脾と胃をそれぞれ当てはめるとこのようなイメージです!

最後に

次回は【第12回】肺の機能・機能異常について紹介します!

前回は【第10回】心の機能・機能異常について紹介しました!

 

「水分を取りすぎて下痢をすることは、脾の機能が追い付かずに現れる症状」など、脾と胃の機能がイメージできると食養生について活かしやすくなります!

 

残すところは肺と腎の2つですね…!

 

くくたる@薬剤師
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