こんにちは!
くくたる(twitterはコチラ)です!
【薬剤師歴11年目】
●フリーランス薬剤師
●管理薬剤師歴:調剤3年、OTC1年目
●1人薬剤師歴(調剤):2年
【漢方薬・ハーブの資格】
●国際中医師
●ハーバルセラピスト
●シニアハーバルセラピスト
※国際中医師は医師免許ではありません。
婦人系の漢方薬としてよく出てくる3大漢方薬である
①当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
②桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
③加味逍遙散(かみしょうようさん)
これらの特徴と違いについて、生薬や体質の比較をしながら紹介をしたいと思います!
私が新人薬剤師の頃、説明で四苦八苦した漢方薬なので思い出深いです!
新人薬剤師の立場・患者さんの立場どちらにしても、漢方薬が何で処方されているのかわからないケースがあると思うので、迷っている方の参考になれば幸いです!
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)とは
当帰芍薬散の構成生薬
芍薬(シャクヤク)、当帰(トウキ)、川芎(センキュウ)、茯苓(ブクリョウ)、蒼朮(ソウジュツ)、沢瀉(タクシャ)
当帰芍薬散はどのような人に使うか?
血虚証、水滞
血虚症は血が足りないという意味です!
※血虚証についてはコチラで紹介しています!
【生理の症状】
生理が遅れる、生理痛(生理中~後から重だるい痛みが続く)、生理量が少ない、色が薄いなど。
出血をしたいのに血が足りなくてできない⇒体が一生懸命血を出そうとする⇒遅れたり鈍い痛みが発生するというイメージを持っていただけるといいと思います!
【その他】
血虚なので、痩せる、血色が悪い、貧血やめまい、立ちくらみなど
水滞なので、足がむくむなどのむくみ、冷えなど
貧血症状を想像していただくとわかりやすいと思います!
当帰芍薬散の生薬の特徴
●芍薬と当帰が血を補給する作用が期待できます!
●川芎は補給した血を全身に巡らせるために配合されております!
※これを活血(かっけつ)作用と言います!
ちなみに、血を補給する漢方薬として四物湯がありますが、構成生薬は地黄、当帰、芍薬、センキュウの4種類ですね!
※地黄以外が共通して含まれております!
●茯苓、蒼朮、沢瀉が水分代謝を改善する作用が期待できます!
当帰芍薬散の効能・効果(市販薬)
体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向があり疲労しやすく、ときに下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴えるものの次の諸症:月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、産前産後あるいは流産による障害(貧血、疲労倦怠、めまい、むくみ)、めまい・立ちくらみ、頭重、肩こり、腰痛、足腰の冷え症、しもやけ、むくみ、しみ、耳鳴り
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)とは
桂枝茯苓丸の構成生薬
桂皮(ケイヒ)、茯苓(ブクリョウ)、牡丹皮(ボタンピ)、桃仁(トウニン)、芍薬(シャクヤク)
桂枝茯苓丸はどのような人に使うか?
血瘀証(けつおしょう)
血瘀は血の流れが滞る(血行不良)という意味ですね!
※血瘀証についてはコチラで紹介しています!
【生理の症状】
生理前に強く痛む、生理後は痛みはなくなりすっきりする、血がドロっとしていたり血塊が出る、色が濃い(紫暗色)、生理量は少なかったり多かったりなど。
出血をしたいのに血が滞っていて出せない⇒体が一生懸命血を出そうとする⇒刺すような強い痛みが発生するが、血が出始めると楽になるというイメージを持っていただけるといいと思います!
強い痛みの発生については、気・血・津液などが滞ってしまうことで起こります! イメージとしては便秘時の腹痛や、虚血性心疾患の心臓の痛みなどを想像するとわかりやすいと思います!
【その他】
生理前にニキビができる、あざ・シミができる、顔色や唇、下の裏側の血管が紫暗色、顔ののぼせ、手足の冷えなど
血行不良による状況を想像していただくとわかりやすいかと思います!
熱は上に行きやすく、冷えは下に行きやすい性質があるため、血行不良により抹消である手足が冷えて、頭部がのぼせる症状が出ることがあります。
桂枝茯苓丸の生薬の特徴
●牡丹皮と桃仁が血の滞りを改善します(活血)!
特に、牡丹皮はのぼせの改善をしたり、桃仁は破血作用(活血の強いバージョン)の作用を持っています。
●桂皮は温めることで気血津液の流れを改善します!
●芍薬は血を補給し、茯苓が水分代謝を改善します!
桂枝茯苓丸の効能・効果(市販薬)
比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴えるものの次の諸症:月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、血の道症、肩こり、めまい、頭重、打ち身(打撲症)、しもやけ、しみ、湿疹・皮膚炎、にきび
加味逍遙散(かみしょうようさん)とは
加味逍遙散の構成生薬
柴胡(サイコ)、当帰(トウキ)、芍薬(シャクヤク)、白朮(ビャクジュツ)、薄荷(ハッカ)、生姜(ショウキョウ)、茯苓(ブクリョウ)、山梔子(サンシシ)、牡丹皮(ボタンピ)、甘草(カンゾウ)
加味逍遙散はどのような人に使うか?
肝気鬱血(かんきうっけつ)
→肝の気滞→ストレスが溜まったり、ホルモンバランスが乱れたり、頭部がのぼせている方
なので、イライラしたり怒りやすくなったりなどのストレスがメインの症状の場合に使います!
※肝についてはコチラで紹介しています!
脾気虚:胃腸が弱い方
※脾についてはコチラで紹介しています!
【生理の症状】
周期が安定しない、生理量も安定しないなど
加味逍遙散の生薬の特徴
●柴胡と薄荷がストレス状態を改善!
●山梔子と牡丹皮が熱を冷ます!
ストレスが強く溜まると頭部がのぼせたりしますが、そこを改善します!
牡丹皮については、活血作用もあります!
※活血作用:血の巡りを改善する作用
●当帰、芍薬が血を補給!
生姜が胃腸の状態を改善し、茯苓、白朮が水分代謝を改善することで胃腸の状態の改善をします!
※脾は湿気に弱いため。
※白朮は補気、利水、健脾
加味逍遙散の効能・効果(市販薬)
体力中等度以下で、のぼせ感があり、肩がこり、疲れやすく、精神不安やいらだちなどの精神神経症状、ときに便秘の傾向のあるものの次の諸症:冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症、不眠症
まとめ
かなりざっくりと書きます…。
①当帰芍薬散は血が足りないことが原因の生理の乱れに!
②桂枝茯苓丸は血の流れが滞ることが原因の生理の乱れに!
③加味逍遙散はホルモンバランスの乱れが原因のストレス、イライラに!
このあたりで区別をすると大きな間違いはないかと思います!!
市販薬で私のオススメの紹介
【注意点】
①治療中の病気がある方
②使用中のお薬がある方
③副作用やアレルギーを経験されたことがある方
④妊婦・授乳婦の方
上記に当てはまる方は、医師や薬剤師に相談した上で使用の判断を行うようにしてください。
【服用期間】
できれば14日間程度は服用を続けていただき、何かしらの変化があるか確認をしていただくと良いと思います。
当帰芍薬散
桂枝茯苓丸
加味逍遙散
最後に
というわけで、今回は婦人疾患の代表漢方薬である当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、加味逍遙散の使い分けについてまとめてみました!
今回の記事を動画で観る・聴く場合はコチラ!※Youtubeにリンクします
私が新人薬剤師の頃は、この違いがよくわからず、服薬指導の時に苦戦したものです…。
漢方薬の使い分けを答えられると、患者さんや周りの薬剤師からの信頼も得られやすいと個人的に感じています!
ざっくりとでも違いを認識しておくと役に立つこと間違いなしです!!
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