外用ステロイド剤の特徴を構造式から理解・覚える!

くくたる@薬剤師
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こんにちは!

くくたる(twitterはコチラ)です!

【薬剤師歴11年目】
●フリーランス薬剤師
●管理薬剤師歴:調剤3年、OTC1年目
●1人薬剤師歴(調剤):2年

【その他資格】
国際中医師
●ハーバルセラピスト
●シニアハーバルセラピスト
※国際中医師は医師免許ではありません。

 

ステロイド外用剤の強さ・ランクって覚えにくいですよね…?

 

今回は構造式から強さを比べられるようになるための記事になります!

最初はややこしいかもしれませんが、最終的に構造式で覚えておくと、同じストロングランクでも強さ比較の想像がつくようになるため、知っておいて損はないです!

 

くくたる@薬剤師
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覚えることはそこまで多くはないと個人的には思います!

 

構造式から考察する記事のため参考程度にしていただけると助かります!

ステロイド骨格で見るべきところ

中盤に外用ステロイドすべての構造式をランク別に載せていますので、確認してもらえると信頼性が高まると思います!

 

糖質コルチコイド作用の特性

①C環のOH-の赤丸部分が糖質コルチコイド作用発現に必要!

O=だと糖質コルチコイドの作用が弱まる→クロベタゾール(ストロンゲスト)とクロベタゾン(ミディアム)を比較!

 

②B環の赤丸の上側のH部分にFがついていると糖質コルチコイド作用が強まる!

Fが付くことでC-F結合が強まり分解されにくくなる特性があります!

 

③D環の赤丸部分にがメチル化・OH化により鉱質コルチコイド作用減弱!

 

④A環に二重結合が2つあると糖質コルチコイド作用が増強、鉱質コルチコイド作用が減弱!

 

⑤黄緑色の置換基が脂溶性が高い(炭素数が多い)ほど持続力が上がる!

※持続力が上がる≒糖質コルチコイドの作用が強まる?

 

基本骨格の作用時間の分類

短時間型:ヒドロコルチゾン

中時間型:プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン

長時間型:デキサメタゾン、ベタメタゾン

置換基の種類と比較

置換基については、外用剤は全部で6種類です!

大体でいいので、置換基の名前と炭素の数に注目です!

 

〇〇エステルを見て「あーだいたいこんな感じだったな」となればそれで大丈夫です!!

 

ポイントは、脂溶性の高さ(炭素数?)で考えるといいと思います!

論より証拠ということで、下記の【ベタメタゾンとヒドロコルチゾンで比べてみよう!】を見ていただけるとわかると思います!

ベタメタゾンとヒドロコルチゾンで比べてみよう!

ベタメタゾンとヒドロコルチゾンは、ミディアム~ベリーストロングに幅広く存在しているため、置換基の比較がしやすいです!

 

ベタメタゾン比較

【アンテベート軟膏(Ⅱ群:ベリーストロング)】

 

【リンデロンDP(Ⅱ群:ベリーストロング)】

 

【リンデロンV(Ⅲ群:ストロング)】

 

置換基ごとの色分け

●酪酸エステル:ピンク

●プロピオン酸エステル:緑

●吉草酸エステル:オレンジ

 

ベリーストロングの2種はプロピオン酸エステル(緑の置換基)となっており、2か所ともエステル化されています!

 

その中でもアンテベート軟膏の方がリンデロンDPよりも強いと考えられるのは、酪酸エステル(ピンクの部分)が含まれているおり、より脂溶性が増しているためと考えられます!

 

リンデロンVについては吉草酸で最も炭素数が長い置換基ですが1か所のみで、全体的にみると炭素数が少ないためストロングランクになっていると考えられます!

 

ヒドロコルチゾン比較

【パンデル(Ⅱ群:ベリーストロング)】

 

【ロコイド(Ⅳ群:ミディアム)】

ベタメタゾンシリーズ同様に、エステルが増えることでランクが上がっている(強くなっている)と考えられます!

 

ベタメタゾンとヒドロコルチゾンの骨格比較

【アンテベート(Ⅱ群:ベリーストロング)】

 

【パンデル(Ⅱ群:ベリーストロング)】

今度はベタメタゾンとヒドロコルチゾンの骨格比較です!

 

どちらもベリーストロングですが、アンテベート(ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル)の方が強いと考えられます!

 

B環のFA環の二重結合の数が違うことで、糖質コルチコイド作用が変わるわけですね!

※D環のCH3の有無もありますが、こちらは鉱質コルチコイド作用の減弱の有無 

ステロイドのランク別の構造式の紹介

ここからはランク別(ランクの中でも強さ別)の順で構造式を記載していきたいと思います!

20個くらいあるので飛ばしてしまってもいいです…!

 

Ⅰ群:ストロンゲスト

【デルモベート(クロベタゾールプロピオン酸エステル)】

名前に「クロ」とあるように、Clが含まれていますね!

 

【ジフラール(ジフロラゾン酢酸エステル)】

名前に「ジフロ」とあるように、B環にFが2つ含まれていますね!

 

Ⅱ群:ベリーストロング

【フルメタ(モメタゾンフランカルボン酸エステル)】

外用ステロイド剤の塗布薬で唯一、フランカルボン酸がついています!

脂溶性の点からかなり強い置換基であると考えております!

 

【アンテベート(ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル)】

 

【トプシム(フルオシノニド)】

名前に「フル」とあるように、B環にFが含まれていますね!

ちなみに「ノニド」とついているステロイドは、アセトニドが置換基に含まれています!

 

【リンデロンDP(ベタメタゾンジプロピオン酸エステル)】

 

【マイザー(ジフルプレドナート)】

名前に「ジフル」とあるように、B環にFが2つ含まれていますね!

 

【ビスダーム(アムシノニド)】

 「ノニド」とついているステロイドは、アセトニドが置換基に含まれています!

 

【テクスメテン、ネリゾナ(ジフルコルトロン吉草酸エステル)】

名前に「ジフル」とあるように、B環にFが2つ含まれていますね!

 

【パンデル(酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン)】

 

Ⅲ群:ストロング

【エクラー(デプロドンプロピオン酸エステル)】

 

【メサデルム(デキサメタゾンプロピオン酸エステル)】

 

【ボアラ(デキサメタゾン吉草酸エステル)】

 

【リンデロンV(ベタメタゾン吉草酸エステル)】

 

【プロパデルム(ベクロメタゾンプロピオン酸エステル)】

 

【フルコート(フルオシノニドアセトニド)】

 

Ⅳ群:ミディアム

【リドメックスコーワ(プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル)】

 

【レダコート(トリアムシノロンアセトニド)】

 

【アルメタ(アルクロメタゾンプロピオン酸エステル)】

 

【キンダベート(クロベタゾン酪酸エステル)】

デルモベート(クロベタゾールプロピオン酸エステル)と似ておりますが、C環がO=となっている所酪酸エステル・プロピオン酸エステルの部分が異なります!

 

プロピオン酸エステルより酪酸エステルの方が強いと考えられるので、C環のOH-とO=の違いだけでストロンゲストとミディアムまで差が出ることが面白いですよね!

 

【ロコイド(ヒドロコルチゾン酪酸エステル)】

 

【グリメサゾン・オイラゾン(デキサメタゾン)】

 

Ⅴ群:ウィーク

【プレドニゾロン】

以上です!

 

くくたる@薬剤師
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すべて見ていただいた方、本当にお疲れさまでした!!

最後に

というわけで、今回は外用ステロイドのランクを構造式の基本骨格や置換基から考察した記事でした!

 

ほとんどの順番が、最初に紹介した規則に当てはまっていると考えられますが、皆様はどう感じたでしょうか?

 

※ちなみに、個人の見解なので完全な鵜呑みはしない方がいいかもしれませんが、ほぼほぼこの見解で問題ないと思っております!

 

成分名や構造式見るだけでも、ある程度強さ比較ができることが伝わっていたら幸いです!

くくたる@薬剤師
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最後まで見ていただきありがとうございます!

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