こんにちは!
くくたる(twitterはコチラ)です!
【薬剤師歴11年目】
●フリーランス薬剤師
●管理薬剤師歴:調剤3年、OTC1年目
●1人薬剤師歴(調剤):2年
【その他資格】
●国際中医師
●ハーバルセラピスト
●シニアハーバルセラピスト
※国際中医師は医師免許ではありません。
「この薬の効き目はいつからなのだろう?」
薬剤師であれば誰もが一度は疑問に思いますよね?
今回はその疑問解消のヒントとなるRitschel理論について紹介します!
使うパラメータは半減期(t1/2)と投与間隔のみの単純な公式なのですが、私は毎回忘れてしまうため備忘録としての記事になります…!
Ritchel理論とは?
Ritchel理論は、
「その薬物が定常状態になる薬物か?定常状態にならない薬物か?」
この判断を簡易的に行うことができる考え方です!
Ritchel理論の公式
投与間隔と半減期(t1/2)の2つのパラメータのみで求めることができます!
【定常状態に達する薬物】
投与間隔/半減期(t1/2)≦3
【定常状態にならない薬物】
投与間隔/半減期(t1/2)>3
3を基準に簡易的に判断ができるわけですね!
定常状態に達する薬物の場合は、半減期(t1/2)の約5倍の時間で定常状態に達すると考えられます!
Ritchel理論でカルボシステインを調べてみる
カルボシステイン錠500mg 3錠 1日3回毎食後
よくある処方内容ですよね!
こちらを例にして当てはめていきます!
カルボシステイン錠500mgの半減期(t1/2):1.6時間
今回のカルボシステイン錠の投与間隔:8時間
※1日3回投与のため、24時間を3で割りました。
※半減期はムコダイン錠500mgを参考にしております。
この場合、8÷1.6=5となり、3以上のため定常状態にならない薬物と考えられます!
そのため、カルボシステインは初回投与から効果が期待できる薬物と考えられますね!
Ritchel理論に例外はある?
Ritchel理論はあくまでも「定常状態になる薬物」か「定常状態にならない薬物か」を判断するための考え方です!
私が「カルボシステインでは初回投与から効果が期待できる」と記載したため、ミスリードさせてしまう可能性があるので念のため補足します!
(他の表現が思いつかず、カルボシステインはそのように記載しております)
気をつけなければならないことは、
「定常状態にならない薬物の中でも初回投与から効果が期待できない薬物がある」
ということです!
例の1つとしてPPIのラベプラゾールを見ていきたいと思います!
Ritchel理論でラベプラゾールを調べてみる
ラベプラゾール錠10mg 1錠 朝食後
こちらもよくある処方内容ですね!
ラベプラゾール錠10mgの半減期(t1/2):1.07±0.47時間
今回のラベプラゾール錠の投与間隔:24時間
※半減期はパリエット錠の食後の値を参考にしております。
この場合、24÷1.07≒22.43となり、3以上のため定常状態にならない薬物と考えられます!
ただ、一般にボノプラザン以外のPPIの場合「胃酸コントロールのための効果発現は1週間程度かかる」と考えられておりますよね!
※21.10.30現在のPPIの販売状況
このような感じで、
「定常状態にならない=初回投与から効果が発現する」
と必ずなるわけではない点は注意が必要と考えます!
あくまでも胃酸のコントロールができるまでに1週間程度かかるという話なので、副作用のリスクについては初回から考えていく必要がありますのでこちらも補足!
今回の記事のまとめ
①薬がいつごろから効き目が出るかの判断を行う場合、定常状態になる薬物かどうかの判断をする!
②定常状態になるかどうかはRitchel理論を活用してみよう!
③定常状態にならない薬物は初回投与から効果が期待できるが、例外はある!
私が薬物動態でオススメする本の紹介
薬物動態を推理する55Question
タイトル通りですが、日々の業務でふと疑問に持った時に役立つ55個のクエスチョンを解決できる本ですね!
薬学生の時に学んだ薬物動態を現場で活かせるレベルで考えられるようになっているため、非常に重宝しております!
最後に
というわけで、今回は「薬の効き目がいつからなのか?」を考えるための記事でした!
Ritchel理論、すごくわかりやすいのですが投与間隔を半減期で割るのか、半減期を投与間隔で割るのか混乱してしまうことがあるので備忘録的な記事でした…。
意味を考えれば公式を間違えることはないはずなのですが、私は毎回混乱します…。
コメント