こんにちは!
くくたる(twitterはコチラ)です!
【薬剤師歴11年目】
●フリーランス薬剤師
●管理薬剤師歴:調剤3年、OTC1年目
●1人薬剤師歴(調剤):2年
【漢方薬・ハーブの資格】
●国際中医師
●ハーバルセラピスト
●シニアハーバルセラピスト
※国際中医師は医師免許ではありません。
花粉症の治療で補中益気湯が処方されたことはあるでしょうか?
私は何度か経験があるのですが、漢方薬の勉強をする前は、何故処方されているのかわからない状態でした…。
今回は少しでもイメージしやすくなるよう、西洋医学的な表現も含めて紹介したいと思います!
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)が花粉症で処方される理由
まずは効能・効果を確認し、その後に西洋医学的な表現、中医学的な表現で記載します!
補中益気湯の効能・効果(市販薬)
体力虚弱で、元気がなく、胃腸のはたらきが衰えて、疲れやすいものの次の諸症:虚弱体質、疲労倦怠、病後・術後の衰弱、食欲不振、ねあせ、感冒
西洋医学的な表現
胃腸が弱い方に対して、胃腸の機能を改善させることで免疫機能のバランスが整うため、花粉に対する過剰なアレルギー反応を抑制する。
市販薬の効能・効果では虚弱体質に当てはまると考えております!
※下記は大塚製薬のHPより引用しております。
そもそも乳酸菌とはなんでしょう?乳酸菌とは「糖類を食べて乳酸を出す細菌」のことです。乳酸菌の出す乳酸は、腸の中で悪玉菌や雑菌の増加を抑える働きによって腸内フローラを整え「おなかの調子」や「便通を改善する」だけでなく、乳酸菌は、「免疫力を強くする」働きがあります。加えて、「肌をきれいにする」「花粉症の症状を和らげる」「インフルエンザを予防する」「内臓脂肪を減らす」など、美容やアレルギー、生活習慣病といった幅広い分野で様々な効果が報告されています。日頃の生活に乳酸菌を摂り入れ、腸内フローラを整えて健康な毎日を送ってください。
https://www.otsuka.co.jp/b240/column/column004.html
乳酸菌の話題ではありますが、下痢などで腸内細菌の環境が乱れてしまうと免疫機能のバランスが崩れるイメージに繋がりますよね!
中医学的な表現
脾胃(胃腸)の機能を整えることで肺の機能を改善させ、衛気を充実させることで花粉(外邪)による抵抗力(防御力)を高める。
※機能を整える=補気
補中益気湯は脾気虚をメインで改善させますが、脾気虚が改善されると肺気虚の改善にも繋がるという考え方です!
※気虚=気が不足することで生じる機能低下
肺気虚は花粉症に限った話ではなく、風邪をひきやすくなったり鼻水が出やすくなったりもします!
※詳しくは上のリンク先(肺の機能の詳細)で紹介しております。
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)とはどう違うのか?
まずは小青竜湯の効能・効果を確認し、その後に補中益気湯と比較します!
小青竜湯の効能・効果(市販薬)
体力中等度又はやや虚弱で、うすい水様のたんを伴うせきや鼻水が出るものの次の諸症:気管支炎、気管支ぜんそく、鼻炎、アレルギー性鼻炎、むくみ、感冒、花粉症
ひとことで言えば、小青竜湯は身体を温めて水分代謝を改善します!
鼻水や痰などの余分な水分を改善させるため上記のような効能・効果があるわけですね!
①鼻水は鼻に水分が滞っているため漏れ出てきている
②痰はノドや気管に水分が滞っているため漏れ出てきている
極論ですが、このようなイメージです!
補中益気湯との比較
【補中益気湯】
胃腸機能の改善をすることで虚弱体質を改善し、花粉などの外部からの抵抗力を強化する!
【小青竜湯】
身体を温めることで水分代謝を改善させ、鼻水や痰などの余分な水分を減らす!
なんとなくイメージできたでしょうか?
補中益気湯と小青竜湯は一緒に服用できるのか?
併用自体は可能と考えられます!
※処方薬で医師からの別途指示があるような場合は別。
併用自体は可能ですが、補中益気湯、小青竜湯に共通して含まれる甘草の配合量には注意をする必要があります!
併用時には甘草の量に注意!
補中益気湯と小青竜湯はどちらにも甘草が含まれるため、偽アルドステロン症のリスクを考える必要があります!
一般的には、甘草の上限量は1日量として7.5gと考えられております!
漢方薬は販売メーカーの違いや市販薬・処方薬で生薬量が異なるため、確認を怠らないよう注意する必要がありますね!
最後に
というわけで、今回は花粉症に補中益気湯が使用される理由について紹介しました!
ちなみに中医学的な表現では衛気について紹介しましたが、衛気を改善する目的の場合には玉屏風散(ぎょくへいふうさん)という漢方薬があります!
日本でも玉屏風散の販売はありそうですが、医療用医薬品(処方できる薬)にはないため補中益気湯が使われることが多いのかなと思います!
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